# 026
チコ・ハミルトン『Euphoric EP 』 Sterling-Sound
text by 稲岡邦弥
チコ・ハミルトン
『Euphoric EP 』
Sterling Sound の CD Reference
Producer:Jeffrey A. Caddic
Engineer:Will Quinnell
11月25日、ドラマーのチコ・ハミルトンがマンハッタンの病院で亡くなった。1921年生まれの92才、直前まで演奏活動を続けていたのだから「大往生」というべきだろう。
チコ・ハミルトンというと、まず、あの映画『真夏の夜のジャズ』(監督・撮影:バート・スターン)での演奏シーンを思い出す。1958年に開催された第5回ニューポート・ジャズ・フェスティバルを記録したジャズ・ドキュメンタリー。エリック・ドルフィー、ジム・ホール(チコの逝去から2週間ほどして後を追うように急逝した)、フレッド・カッツを含むカルテットでの<ブルー・サンズ>のリハーサル風景。日本での公開前にU-maticで視聴させてもらったのと、映画のハイライトのひとつであったアニタ・オデイとジョン・プール(ds)が来日中に銀座のヤマハホールへ観に出掛けたことと合わせてとくに印象に残っている。この<ブルー・サンズ>は、モンティ本多(サックスの本多俊之の父親)がDJを務めるラジオ関東(現・ラジオ日本)のジャズ番組、「ミッドナイト・ジャズ」のテーマとして耳に馴染んでもいた。チコのマレットによるイントロに乗ってバディ・コレットのフルートが入ってくるとぞくぞくしたものだ。
今回取り上げたのは、チコの最後のワーキング・バンド「ユーフォリア」による2011年の録音『ユーフォリック』と『リヴェレーション』のリファレンスCD。プロデューサーのジェフリー・カディックから送られてきたもの。日本では経費節約のために、1日でマスタリングを済ませてしまうことが多いが、アメリカのジャズ・プロジェクトでは、マスタリングを終えたあとリファレンスCDを作ってもらい、プロデューサーとバンドリーダーが自宅の装置など聴き慣れた再生システムを使ってモニタリングし直すケースが多い。馴染みの薄いマスタリング・スタジオでのモニタリングでは適切な判断ができない場合があるからだ。その結果、微調整が必要になると再度スタジオに出掛けてもう一度マスタリングをやり直す。
ちなみに、スターリング・サウンドは、もっとも定評のあるNYのマスタリング・スタジオで、ミュージシャンから指名の多いグレッグ・カルビとテッド・ジェンセンを擁している(現場を離れてしばらく経つので、現状は詳らかではない)。マスタリングを担当したゴールド・ディスクやグラミーを取ったアルバムは相当数に及んでいる。(稲岡邦弥)
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
:
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
:
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
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#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義
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#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄
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