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「第22回ミュージック・ペンクラブ音楽賞」贈呈式
2010年3月30日 @東京芸術劇場中会議場
reported by Hiroki TAMURA

  photo:T-toc

 「第22回ミュージック・ペンクラブ音楽賞」贈呈式が3月30日東京芸術劇場中会議場で行われた。この音楽賞は音楽関係の言論・執筆活動に関わるライター・評論家等で構成されるミュージック・ペンクラブが、毎年約200名の会員の自主投票によって選定する。式は会長の青澤唯夫氏の挨拶に続き、クラシック、ポピュラー、オーディオの各部門で表彰が行われた。

 クラシック部門<録音・録画部門 最優秀作品賞>は昨年の『ベルリオーズ:幻想交響曲』に続き、『ブラームス:交響曲全集/サイモン・ラトル指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団』(外国人アーティスト)が、日本人アーティストは『ブルックナー:交響曲第7番ホ長調/ユベール・スダーン指揮 東京交響楽団』(日本人アーティスト)がオーディオ部門<録音賞>とのダブル受賞を果たした。ユベール・スダーンと東京交響楽団のコンビは昨年度の「コンサート・パフォーマンス賞」も受賞しており、高い評価を得ている。式ではスダーン氏からのメッセージが代読された。
「この度、第22回ミュージック・ペンクラブ音楽賞 <クラシック部門 録音・録画 作品賞>と<オーディオ部門録音賞>とのダブル受賞となりましたことを、私、東京交響楽団、レコーディング・スタッフ一同、大変光栄に思っております。昨年に続きまして、この賞に選んで下さいました評論家各氏に心より感謝申しあげます。ハイドン、モーツァルトの古典からシューベルト、ブルックナーと演奏してきました私のプロジェクトも、この後ブルックナーの交響曲第8番、9番、テ・デウム、ベルリオーズと、近代の音楽に差しかかろうとしております。我々一同今後とも一層の努力を惜しまず、ファンの皆様にお喜びいただけるよう精進してまいりたいと思います。この度はありがとうございました。」
 その他、<コンサート・パフォーマンス賞>は「マルク・ミンコフスキ指揮 ルーブル宮音楽隊」(外国人アーティスト)、「ハイドン・プロジェクト フランス・ブリュッヘン・プロデュース&指揮 新日本フィルハーモニー」(日本人アーティスト)が受賞、<最優秀著作出版物賞>は、「ヘンデル 創造のダイナミズム/ドナルド・バロウズ編」藤江効子/小林裕子/三ヶ尻正・訳 (春秋社)、そして今回から追加された「ベスト・ニュー・アーティスト」にはメゾソプラノ歌手、日向由子氏が選ばれ、喜びのコメントを語った。 「今ここに立っていることが本当に夢のようで信じられないのですが、このような素晴らしい賞をいただくことができて、とても幸せに思っております。これからも皆さんの心に届くような歌が歌えるように頑張って生きたいと思います。本当にどうもありがとうございました。」

 続いてポピュラー部門に移る。<録音・録画最優秀作品賞>はマイケル・ジャクソンの『THIS IS IT』(外国人アーティスト)、マーサ三宅の『Softly as I Leave You』(日本人アーティスト)が受賞。マイケル・ジャクソンは音楽界に多大なる貢献をした方へ贈られる<特別賞>も受賞。日本人アーティストは07年、翌08年と2年連続で上原ひろみが受賞していたが、今回はマーサ三宅が受賞。数多くの賞を受賞してきた彼女もこの賞は初受賞。この日はマーサ三宅本人が式に出席し次のように受賞の喜びを語った。

「実は今日、私はお祝いに駆けつけたつもりだったのです。録音をなさったのはティートックレコーズの金野さんでして、とてもいい雰囲気にして下さって、私は好きなように歌っただけなのに私が賞をいただくなんて、ここに着いて狼狽しております。でも、嬉しい狼狽でございます。あと何年歌えるかわかりませんが、これからも自然体で生きていくと思います。心ある方々のおかげでこのレコーディングが成り立ったわけですから、多くの方々に感謝をしたいと思います。どうもありがとうございました。」
 マーサ三宅のレコーディングの企画から参加し、アルバムにも「Supervisor」としてクレジットされているジャズ評論家の小西啓一氏も式に駆けつけ、大きな拍手を送っていた。
 その他<コンサート・パフォーマンス賞>は「SIMON & GARFUNKEL OLD FRIENDS TOUR 2009」(外国人アーティスト)、「富士通コンコード・ジャズ・フェスティバル」(日本人アーティスト)が受賞、オールアート・プロモーション代表取締役 石塚孝夫氏が次のように述べた。「私の会社、オールアート・プロモーションは今年でちょうど50周年を迎えます。その記念にこの賞をいただいたということは、非常に意義があり、また、素晴らしい思い出になるかと思います。本来ならば、このコンサートを成功させてくれた日本人のアーティストたちに贈られるのが喜ばしいと、私は心から思っております。」
 大ホールでのジャズ・フェスティバルが減っていく中、コンコード・ジャズ・フェスティバルの果たす役割は大きく、また、アーティストに敬意を払うコメントに心入った。
 <最優秀著作出版物賞>は、「知ってるようで知らない映画音楽おもしろ雑学事典」大日方俊子著 (ヤマハミュージックメディア)、新設の<ベスト・ニュー・アーティスト>には、昨年、デビュー・アルバム『Bible Belt』が各方面で絶賛されたダイアン・バーチが選ばれた。

 続いて、オーディオ部門の贈呈式に移り、<最優秀録音・録画作品>は、SACD盤『ブルックナー:交響曲第7 番ホ長調 ユベール・スダーン指揮 東京交響楽団』、<最優秀録音技術>は、エヌ・アンド・エフとセーラー万年筆の共同開発による「Extreme HARD GLASS CD」が受賞した。  最後に生前の業績が高く評価されたマイケル・ジャクソン、忌野清志郎の両氏に<特別賞>が贈られ、贈呈式は幕を閉じた。

*関連リンク(マーサ三宅CDレヴュー): http://www.jazztokyo.com/newdisc/639/miyake.html

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追悼特集
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#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
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#10 Contents
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