#  278

「東京JAZZ」特集:渡辺香津美 TOCHIKA 2010 featuring TOCHIKA ALL STARS
2010年9月5日@国際フォーラム Hall A
reported by高谷秀司/Hidesi Takatani photo:(c)中嶌英雄/(c)Hideo Nakajima/東京JAZZ事務局

渡辺香津美 TOCHIKA 2010:
渡辺香津美 (g)
ウォーレン・バーンハイト (p,key)
オマー・ハキム (ds)
マイク・マイニエリ (vib)
マーカス・ミラー (el-b)

進化の展示場 「東京JAZZ」
第3楽章

『TOCHIKA』といえば、80年代の憧れ中の憧れ
私の脳髄を刺激したアルバム

今でも空で 曲名 曲順を 言える
エーット

『TOCHIKA』

@ リキッド・フィンガーズ
A ブラック・カナル
B トチカ
C コクモ・アイランド
D ユニコーン
E ドント・ビー・シリー
F サヨナラ
G マンハッタン・フルー・ダンス

そして 頭の中に曲想が見事に蘇ってくる

  そんなこんなで、
なんといっても渡辺香津美さんのファンなんです。

『TOCHIKA』も素晴らしいのだけれども、
なんといっても、彼のもっともすばらしい演奏は、私にとって『アコの夢』。

鈴木勲さんのリーダー・アルバムでの演奏が出色だった。本当にすばらしかった。勿論、17歳の衝撃のデビュー以来、名演、共演を数え上げれば枚挙に暇がない・・・・・。
『TOCHIKA』には『アコの夢』が見え隠れする・・・・・。

ギタリスト目線で見るとき(私の職業はギタリストなので、同業者として見るという意味)とそうでない時では、見方が根本から変わる。

ギタリスト目線で見ないとき、私は完全に渡辺香津美のミーハーである。

そんなわけで、今日はギタリスト目線ではない、香津美ファン目線で・・・・

『TOCHIKA』をあのまま再現してくれる。楽しみだ・・・・・・。
今回のメンバーは;

Warren Bernhardt ピアノ/キーボード
Omar Hakimドラムス
Mike Mainieri ヴァイブ
Marcus Miller ベース

「すげぇー」このメンバーでギター弾きたい・・・・。なんて、私は、ギターキッズになる。

さて、
実際の演奏は、再現なんて生易しいものではなかった。

30年振りに揃うメンバーが、それぞれの成長を遂げた形で、各々の成長の角度を抱え込んで、それらを正直にぶつけ合った空間だった。 ミュージッシャンとしての進化を、誇らしげに、そして慎ましく表現している。

まさしく、進化の展示場だった。

特に、こんなに晴れ晴れとした、こんなに生き生きとした、香津美さんは見たことがなかった。

香津美さんを左脳 右脳で捕らえると、誰しも精密で狂いのない「左脳派」ということで意見が一致するだろう。

正確無比の左脳「ギタリスト」渡辺香津美が、右脳の典型のようになって、ステージを駆け回っている。時には、リズムを狂わせて情熱の雄叫びを上げている。

子供のように無垢な渡辺香津美を誘導したのは、やはり、マイク・マイニエリ(vib)。彼の、音楽知性の塊のコンダクトが、香津美の野生を蘇らせた。
香津美に関して色々な事を言う人がいるが、本来、彼は、情念と純粋さの塊。 お茶目な野生児だ。

しかし、信じ難いほどの音楽性の高さ故、音楽家の嫉妬を受け続けてきた人・・・・・だからこその至高だし、孤高。かっこいいーー。

『TOCHIKA ALL STARS』は、彼を一人にはしない。もう一人の孤高のミュージッシャン、マーカス・ミラー(ベース)がいるから。孤高が二人いれば、もう孤高ではない。

囁き合い、凭(もた)れ合い、尊敬し合い、崇拝し合い・・・・鼓舞し合い・・・・。

もう音は、アルバム『TOCHIKA』どころの音ではない。どの曲もレコーディングを凌駕し、アウフヘーベン(止揚)している。

特に、<マンハッタン・フルー・ダンス>(香津美がニューヨークで風邪を引いたときに作った曲)は、壮絶だった。

キーボードの冷静沈着なウォーレンが飛び跳ねてた。そしてこの30年間で名実共にもっとも成長した男、オマー・ハキムが、泣きながらドラムを叩いていた(双眼鏡越しに彼の涙を確かに見た)。

今後、私は、ギタリスト目線で、渡辺香津美のミーハーになる。

渡辺香津美と同じ日本人であることに、誇りを持つ。

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#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
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