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ゲルハルト・オピッツ シューベルト連続演奏会 (Schubert Zyklus 2010) 第1回&第2回 |
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≪プログラム≫ |
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"Zyklus" (ツィクルス)と題するからには、そこに一貫して物語性がなければならないのだが、果たして2013年12月にまでわたって予定されているという全8回のツィクルス、一回一回をひとつの物語として完結できるように上手くプログラミングがなされている。作曲年代順に並べるのではなく、初期・中期・後期から作品をバランス良くピックアップ。毎度、作曲家像にさまざまな角度から焦点を当てることができるというわけだ。オピッツといえば、かのヴィル ヘルム・ケンプに薫陶を受けたという正統派。ジャーマン・ピアニズムの精髄がこの人ほど深く根付いている人はいまい。しかも、ハイライトを創りやすいベートーヴェンやブラームスなどとは違い、シューベルトである。ロマン派ではあるのだが、古典派からの脱却を強く志向しながらも完全には形式の束縛から自由になれず、その有り余る歌心をもて余したまま、まとまりなくふっつりと終わる曲が少なくない。試行錯誤を重ねてしまった故の、長さだけは記録的な曲が(特にピアノ曲では)多いのだが、だからこそプログラムをまとめることに一捻りも二捻りも要する。こういった試みを敢行するようなピアニストは、コンサート・ピアニストとして第一線であることが前提であるので、技術的にどうこうという次元ではない。泉のように流れる歌心を、そのピュアな美しさを、はにかむような奥ゆかしさを、技術と経験を下地にいかに語るかである。シューベルトの美はそのまま調性の美であるといってもよいが、その盛り上がりも、自然に波に乗れば自己のピアニスティックな面が投影できるほど単純なものではない。例えば、和音を一押しして、そのままで静止してしまうような曲もある(楽興の時、第六曲など)。和声勝負、というか、和声の静かな推移だけで曲が展開してしまうので、鍵盤を押した瞬間のみにピアニストの実力が賭せられてしまう。瞬時にピアニストの音楽性と成熟度が試される恐しさがある。ただ闊達に指が廻るだけとか、ペダル使いで色彩を出すとかでは音楽が成り立たない。 |
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追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
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#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
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JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
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#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義
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#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
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