#  384

ジミー・コブ・カルテット
2011年11月21日 @Motion Blue Yokohama
Reported by 原田和男
Photos by Motion Blue Yokohama

フィリー・ジョーの後任としてマイルス・バンドに参加。モード奏法を確立したジャズの歴史的名盤カインド・オブ・ブルーでの歯切れの良いドラミングで名声を得る。マイルス後ウィントン・ケリー、キャノンボール、コルトレーン等と共演し、ハード・バップ期を代表したドラマー・ジミー・コブが82歳にして、盟友マイルスに捧げた新作『Remembering Miles』(Village Music/Eighty-Eights)を記念してのライブ・ツアーをMotion Blue Yokohamaで聴いた。もちろん新作を聴いて、演奏と録音の良さにライブを聴きたいと食指が動いたのだ。
メンバーは、ジミー・コブ/ds、エディー・ヘンダーソン/tp、海野雅威/p、ヨナタン・レヴィ/b(アルバムはJohn Webber/b)によるカルテット。
ホーンのヘンダーソンにとっては、マイルスは医学生(後に精神科医)の頃からのアイドルであったという。
ちなみに筆者もラッパを嗜みマイルスがアイドルですが、同時にヘンダーソンはそのデビューから注目して聞き続けてきた。
音色の美しさ、力強く朗々としたソノリティー、また哀切感溢れるミュート演奏に心奪われている人も多いことだろう。
ピアノは、 現在N.Y.滞在中の気鋭の海野雅威。美しい音と抜群のセンスでスイングするのが魅力。
ベースの ヨナタン・レヴィ は、イスラエルで16歳にしてシーンで活躍、現在はN.Y.ジャズのディープに身を置く逸材。野太い音が良い。

演奏曲目:
1st. Set
1.Milestones 2.On Green Dolphin Street 3.So What 4.Autumn Leaves
5.Well You Needn’t 6.Oleo

2nd. Set
1.Straight No Chaser 2.Fran Dance 3.Dear Old Stockholm 4. Remember You
5.Someday My Prince Will Come 6.Four -encore; Night In Tunisia

マイルスの名演があるこれら選曲からどうしてもヘンダーソンのホーンに聞き耳を立ててしまう。
ヨナタン・レヴィの堂々とした堅実なベース・ラインにジミー・コブの繊細・絶妙のシンバル・ワークとドラミングに海野がスイングに拍車をかけるなか、ヘンダーソンが長年愛用しているという”セルマー・パリスの80J”を、オープンでは太く豊かな音色で朗々と謳う。その1音1音の美しさといったら!一転ワウワウ・ミュートでの繊細で選び抜いた珠玉の音建ちにノックアウトされた。自信に満ち満ちた演奏だ!素晴らしい。
ジミー・コブ、御年82歳にして、あのカインド・オブ・ブルーでのリリカルなスイング感を未だに叩き出す強靭な精神に敬意を表したい。
ジャズの醍醐味に酔いしれた一夜であった。







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