#  386

アルフレッド・ロドリゲス
Reported by 悠 雅彦
写真提供:ブルーノート東京

注目したブルーノート東京の2公演
アルフレッド・ロドリゲス・トリオ(11月24日)

 クインシー・ジョーンズが“いま最も注目すべき才能”と誉め称えたことで、俄然ファンの間で関心を集めつつあるピアニスト、アルフレッド・ロドリゲスがブルーノートのステージに初登場した。恐らくは初来日だろう。ハバナ(キューバ)生まれの26歳(1985年生)。貴公子然として見るからに品位と若々しい清々しさを印象づける白面のこのピアニストは、来日第一声となるオープニングの「Silencio」からしたたかな表現力を強く印象づける演奏を披露した。ベースはレイニエール・エリサルデ、ドラムスがヘンリー・コール。去る9月にニューヨークの「ブルーノート」でマッコイ・タイナーとステージを分け合っただけの実力の持主であることは、モティーフの基本となるリズミックな音型を徐々に活性化させながら、変拍子のラテン・リズムで燃え立たせる展開での辛口な表現からも察せられた。演奏にかける思いの強さは30分を越すこの1曲だけでもありあり。馴染みの深い2曲目もそう。こんな「キサス・キサス・キサス」は初めて聴いた。極端なほどのスローなボレロのまま、素性を明かさぬ神秘性を表に出した独特の世界に引き込まれていく。次の「Cu - Bop」でのエリサルデによるいかにもアフロ的な黒い情念を押し出したベース・ソロといい、続く「El Gude」でのキューバン舞踊を思わせる3者一体となった白熱的演奏といい、思わずハバナ郊外の黒人地区で体験したサンテリアの呪術的儀式が瞼に甦るほどにスリリング。アンコールはエルネスト・ドゥアルテが作曲したボレロの名曲でベニー・モレーの名唱が懐かしい「Como Fueコモ・フエ」。ロドリゲスのソロが夜のしじまを縫うように静けさの中を漂っていく。
 繊細さと表現のしたたかさが同居するピアニスト。クィンシーは彼のどこに着目してプロデュースしたのだろう。洗練されたピアノ・タッチと辛口のサウンド作りが妖しい魅力を生んでいるからだろうか。









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FIVE by FIVE 注目の新譜


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追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄


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