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ロイ・ヘインズ〜ファウンテイン・オヴ・ユース・バンド/ジャミン・ウィズ・セヴィアン・グローヴァー
2011年11月28日 @ブルーノート東京
Reported by 悠 雅彦
写真提供:ブルーノート東京

 マイルスやコルトレーンと同年生まれの、今年85歳。そのことばかりが頭にあったせいでもあるまいが、ヘインズの若々しさには驚嘆させられた。昨年も彼の想像を超える元気さに唖然としたものだが、今年はそれに輪をかけたような活きのよさ。何しろステージに現れるや否や、いきなりマイクの前に立ってシナトラで有名な「You Make Me Feel So Young」を歌い出したのだ。そのまま人々に挨拶する姿から拝察してもこれ以上になく上機嫌。ドラムを叩く手さばきや表情を見ても溌剌としている。グループはジャリール・ショウ(as、ss)、デイヴィッド・キコスキー(p)、ジョン・サリヴァン(b)からなるクヮルテット。今回注目を集めたのはタップ・ダンサーの第1人者セヴィアン・グローヴァーとの共演ゆえだったろう。95年に『ノイズ&ファンク』でトニー賞3部門受賞に輝いたタップやヒップホップ・ダンスのトップ・ダンサーが、ヘインズのグループとどんな共演を見せてくれるのか。楽しみでもあるが、一抹の不安もあったからだ。80年代末に初めて彼のタップを見たのが『Black & Blue』だったが、そのときでもまだ10代ながら注目の的だった。そんな彼がその後数々の栄光を手にして、ハロルド・ニコラス、ビル・ロビンソン、グレゴリー・ハインズの系譜の頂点に立つダンサーとなってヘインズと共演するというのだ。だが、彼はジャズとの縁も深く、コルトレーンに心酔しているともいわれる。ステージの後半に登場した彼は先ずはヘインズの叩くリズムをバックにウォーミングアップ風のタップ。ヘインズの若さに仰天したのはこのとき。軽いリズム交換の中でヘインズが、つまり85歳の彼がタップを、もちろんひとくさりとはいえ、軽やかに披露してみせたのだ。まさに脱帽物の一コマだった。この後パーカーのリフに乗って鮮やかなタップ・ダンスを披露したグローヴァーは信じがたいほどに目まぐるしい足さばきで聴衆を魅了し、定刻をとっくに過ぎた最後のクライマックスではカデンツァ、及びベースのバンプに乗ってのソロと、ヘインズはじめメンバー全員を唸らせる妙技を展開して締めくくった。彼のプレイには言葉に尽くせぬストーリーがある。時間が経つのも忘れるくらいの、ヘインズとグローヴァーのプレイに酔った圧巻のひととき!(2011年12月4日記)











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FIVE by FIVE 注目の新譜


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追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄


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