Live Report#420

坂田 明 7 Days@Bitches Brew 白楽
第2夜 坂田 明 vs 坂田 学
2012年4月12日 @Bitches Brew 横浜・白楽
Reported by 稲岡邦弥
Photo by 相本 出 (by iPhone)

坂田 明の7 Daysが始まった。杉田誠一がキュレイターを務める横浜・白楽での7 Days。1月の竹内 直(sax) から始まり、2月大由鬼山(尺八)、3月纐纈雅代(sax)と続き坂田で4回目となる。どれも聞き逃せないラインナップなので、できる限り顔を出そうと努めているのだが、どの奏者の場合も数回が限度。何れ、電子ブックでドキュメンタリー化される予定なので、動画やスチル、レポートで後追いを楽しみにしている。
この夜も数分開演に遅れ、クラブに近づくとすでにトップ・ギアに入った坂田のアルトが足を急かせるのだが、ぬるめのドラムスにステップを乱される。はて、親父の迫力に気圧(けお)されたかと訝(いぶか)しく思う間もなくジュニア(坂田 学)にもスイッチが入った。両者のピッチが完全に合い、快走し始めた。全身を使うジュニアにはしばしのウォームアップが必要だったのだろうか。それにしてもこのしなやかな身のこなしはどうだ。ぴっちりと脇を締め、ライドシンバルをヒットする時は細い右腕がムチのようにしなっている!左手で決めるスネアのアクセントは見事なレギュラー・グリップ。大きなグルーブやダイナミズムが必要になると、スティックの握りを変え二刀流となる。見事な構えだ。タムやスネアの上に小さなシンバルを置いて共振させたり、クラリネットにはマレットで対応したりと叩き出されるパルスとカラーは多彩である。フリー系のドラマーの中には基本を無視したプレイをオリジナルと誤解している者がいるが、やはり基本とセンスを兼ね備えた者のドラミングには胸をすく思いがする。
バンドスタンドを降りた坂田 学は、あの迫真のダイナミズムと多彩なサウンドスケイプに似つかわしくないほど華奢で小柄だった。手渡されたミジンコ・サイズのフライヤから略歴を拾う。73年、サックス奏者の父とピアニストの母親の間に生まれる。10才からドラムを始め、高良久美子(たから・くみこ。東京芸大卒。打楽器奏者)、仙波清彦(東京芸大卒。邦楽囃子仙波流家元を継ぐ打楽器奏者)に師事。高校卒業後MIに留学、帰国後はアヴァンギャルドからポップまで、DVDのサントラや舞台、映画音楽も幅広く手がける。
坂田 学のテクニックと音楽性、センスに充分納得のいくキャリアである。存在に気付くのが遅れたわけだが、「ビッチェズ・ブリュー」の7 Days を通しては、これまでにも多くの未知の才能に目を見開かせてもらうことができた。4月23日には坂田 学の師匠である高良久美子のビブラフォンが登場する。是非、駆け付けねば。
* 坂田 学+茂木欣一+朝倉真司 「TRIPLE」
2012年6月27日(水)Live at 下北沢440 開演:7.30
坂田(drums/electronics)茂木(drums) 朝倉(drums/percussion)
http://www.coyote.co.jp/sakata  







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追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
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#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
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#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
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#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
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第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


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