Live Report#422 |
FOOD feat.Nils Petter Molvaer+巻上公一 横浜公演 |
---|---|
FOOD: |
---|
BankARTを訪れたのは数年ぶり。この日はあいにく雨降りだったこともあり湿度はかなり高かったのではないか。それが屋内のコンクリート打ちっ放しスペースにいかほどの影響をおよぼすのかは不明だが、この日の音響はしっとりと濡れそぼるような曳きが。あのECM独特のリバーヴ効果を呼び覚ますのにうってつけの環境だったように思う。音が求心し、垂直にたちのぼっては溢れんばかりに降り注ぐ...それは皮膚全体で受け止める音楽であり、まさに「体感」という言葉がしっくりと来る。 |
第1部はゲストである神田佳子、中村仁美、そして巻上公一のデュオ・ソロ・トリオでの演奏だったが、北欧勢が醸し出す夢幻の世界とははっきり異なる歩みで音の像が結ばれてゆく。FOODが、どちらかといえばエレクトロニクス寄りの生音であるのに対し、神田・中村はほぼ完全生音勝負。神田佳子の演奏は、小技が冴えながらも、大元では非常に腰の据わりのよいリズム感覚がある。時に縦ノリとも感じられる大局的なダイナミズムは、中村の篳篥が大きくワープしつつ縦横無尽に切り込んでくるのを淡々と捌(さば)く。実際、篳篥の容赦ない音圧と強烈な音の拡充には驚くばかりで、それはバグパイプを聴いたときの印象にも近いものがあるが、民族特有の音楽がもつ、個性を超えたところにある共通項だろうか。何の小細工も施し得ないほどのこの小さな楽器を、完全に血肉化している中村の手腕に唸る。最後のトリオでは、マウスピースに相当する葦舌(した)を自在に用い、ひしゃげたような距離感で巻上公一が生み出す強い気圧に絡んでゆく。テルミンも含め、空間を切り取り歪める一瞬の息づかいに、紛れもなく極東(日本だけに限らず)ならではの感性が強烈に滲む。北欧の理想郷とはまた違った、広大な風景がそこには広がっている。 |
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
:
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
:
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
:
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義
:
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄
Copyright (C) 2004-2015 JAZZTOKYO.
ALL RIGHTS RESERVED.