Live Report#438

JapzItaly〜Jazz Aid for Japanese Children
2012年5月25日〜27日 @ミラノ
Reported by パオロ・ペヴィアーニ (AAJイタリア)
Photos by 米田泰久

*プログラムと出演者の詳細については公式サイトを参照下さい;
http://japzitaly.org

* 演奏の一部はYouTubeを通して確認することができます;
http://www.youtube.com/watch?v=eiea4GOp0ss
http://www.youtube.com/watch?v=W1A22l76XBQ&feature=g-all-u
http://www.youtube.com/watch?v=X29wHEjck4M&feature=g-all-u
http://www.youtube.com/watch?v=OeR5m9qElWM&feature=g-all-u

ミラノはまたしても怠惰な街であることを露呈してしまった

1年ほど前、日本の東北地方は地震、それに引き起こされた津波、さらには福島原発の深刻な事故に立て続けに見舞われた。
これらの災難に遭遇した日本の若者を支援するために、ミラノ県庁が日本の総領事館と組んでJapzItaly=Jazz Aid for Japanese Childrenをというイベントを挙行した。
この尊い目的のために、イタリアと日本のアーチストが手に手を取って3晩にわたって毎夜3グループずつステージの上ったというわけである。ジャズ・ファンにとっては日出ずる国、日本の知られざるジャズの実態を知り、彼らの演奏を鑑賞する絶好の機会ではあった。
審美的な意味では、このイベントがカバーした内容はスタイルと表現方法においてとても幅の広いものであった。なかでは、ジャレットを彷彿させる須藤伸義のピアノや、ラジカルな即興演奏を展開するサックスの坂田 明、強靭なベースの藤原清登と組んだパーカッションのアンドレア・ツェンタッツォのトリオの演奏がフェスティバルの刺激的なパートとなった。
また、フランコ・ダンドレアのピアノ・ソロはいつもながらの素晴らしさだったし、ロベルト・マゾッティのマルチメディア・プロジェクト「ImproWYSIWYG」は、マゾッティが繰り出す映像と大由鬼山、グィード・マッツォン、坂田 明の三者による何の縛りもない自由な演奏が綾なす見事な世界を現出させた。
メインストリームのジャンルでは渡辺貞夫と耳慣れたタイガー大越のコラボレーションがあり、一期一会という意味では伝統的な書の行徳哲男とエフェクト的なギターを操るロベルト・ゾルジの邂逅があった。やややり過ぎの感の否めない高谷秀司とマサ大家のギターに素晴らしいピアニスト兼シンガーの石塚まみが加わり、ルカ・ピッサヴィーニとトマーゾ・カッペラートによるイタリアン・リズム・セクションを交えたセッションもあった。
この種のイベントに付きものの多種多様なプログラミング。あらゆる趣向のジャズ。知られざるものの発見、素晴らしく価値のあるミュージシャンとの遭遇(石塚まみはその好例)。イタリアのフェスティバルではほとんど経験できない内容。
惜しむらくは、演奏された内容やチャリティ・イベントに相応しいとはいえない市民の反響。ミラノはまたしても怠惰な街であることを露呈してしまった。ファッション以外の文化に対してはきわめて冷淡な民意といわざるを得ない。しかし、ここでミラノ市民を弁護してみると...。最終的なプログラムが決定したのはイベントの直前であったこと。ミラノ市民への広報が遅く、限定されていたこと。ミラノ在中の日本人やイタリア市民も少なからずみかけたことも事実ではあるが。3夜にわたったコンサートが毎夜場所を変えていたのも障害になった。もしJapzItalyが再度開催されることになったら、これらの問題は容易に解決されるはずではあるのだが。(音楽ジャーナリスト)  



WEB shoppingJT jungle tomato

FIVE by FIVE 注目の新譜


NEW1.31 '16

追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄


Copyright (C) 2004-2015 JAZZTOKYO.
ALL RIGHTS RESERVED.