Live Report#487

望月 孝 Mochi Lab.~7days@Bithces Brew
2012年11月12日(月) @Bitches Brew for hipsters only
Reported by 稲岡邦弥 Kenny Inaoka
Photos by 相本 出 iPhone de

望月 孝(g, el-b)
秋山一将(g)
荒川マキ(vo)
+
臼井淳一(vln)

本誌連載フォト・エッセイ「JAZZ meets 杉田誠一」でお馴染みの杉田誠一氏が横浜は白楽で店主を勤めるジャズ・バー、Bitches Brew(ビッチェズ・ブリュー)での画期的なイベント、7Days。そもそもは異形のインプロヴァイザー●●●●reedsの才能に惚れ込んだ氏が、古谷の才能を全開させるべく企画したものだが、その後、閉塞したクラブ状況に風穴を開けるべく、氏の肝入りで半ば恒例化することとなった。古谷に続いて白羽の矢を立てられたのは、竹内直reeds、大由鬼山尺八、纐纈雅代as、坂田明reeds、林 栄一as、金剛 督reeds、伽藍=山内勝司el-b+井上史朗el-bそして今回の望月孝Mochi Lab.へと続く。望月は日頃からBitches Brewを活動拠点のひとつと位置付けており、Mochi Lab.(望月孝音楽化学実験室)のタイトルが示すように、さまざまなジャンルのミュージシャンを集めて化学反応を試みている。望月自身、ロック、ブルース、レゲエ、ジャズなどさまざまなシーンを渡り歩いてきたようで、僕が最初に聴いたときはドラムを叩いていた。インドネシアのチャリティ・フェスティバルにバンドを率いて勇んで出かけたところ、1ヶ月早く着いてしまい、現地で地元ミュージシャンとセッションを重ねながら1ヶ月を凌いだという逸話にはさすがに驚いた。それだけ臨機応変、生活力も旺盛ということなのだろう。
初日の今日、予告されていたピアノのBANANA UGが不参加で、ヴォーカルの荒川マキは困ったろうが、リスナーとしては秋山と望月の渡り合いが楽しみとなってくる。下手に望月、上手に秋山、センターにヴォーカルの荒川。荒川とみれば、ジャージー(のような、パーカーのような何れにしてもルースなアウター)とジーンズのカジュアル・スタイル。左の耳朶と右の鼻翼にシンプルなリング・ピアス。しかし、この脱力感に満ちフラットなヴォーカルは半端ではない。ジャージーに隠れた腕は脱臼しているのではないか。何年か前、坊主に大阪のエゴラッピンを聴かせてもらったことがあるがその比ではない。歌詞は自作の詩のようだが断片的に意味がとれるのみ。望月がメロディを付け、秋山がフレーズを被せる。秋山がメロディを付け、望月がベース・ギターで低音を支える。
2nd set。秋山が弾き語りで<イン・ザ・ウィ・スモール・アワーズ>を聞かせる。呟くように歌い、呟くようにギターを爪弾く。シットインで臼井淳一が加わる。たゆたうように流れていた音楽に突然生気が蘇る。臼井の鋭いヴァイオリンが秋山に襲いかかる。荒川のヴォイスが目を覚ます。臼井が抜け、<ナーディス>が始まる。秋山と望月の間でメロディのやりとり。荒川のヴォイスが被る。
望月のファンク・ベースが唸り、秋山がブルージーなギターで応える。望月がギターに持ち替えリフを繰り出す。荒川が呪文を唱える。臼井のヴァイオリンが痙攣する。ケミストリーが起きBitches BrewがBitches Brewの正体を現す...。(稲岡邦弥)















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追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄


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