Concert Report#543


A Tribute to Paul Motian
2013年3月22日@Symphony Space, NYC
Reported by Hank Shteamer
http://darkforcesswing.blogspot.jp/
Photos:Froaihara the video footage by Jimmy A.

Songs of themselves: A Tribute to Paul Motian
Masabumi Kikuchi Solo
菊地雅章ソロ
*Translated the excerpt from the titled article with the permission by the author

菊地雅章のソロも同類だった。当夜の演奏曲のほとんどはモチアンのお気に入りの曲で、プログラムにも予告されていた。しかし、菊地の場合は無伴奏ソロ、曲名不詳としか書かれていなかった。(ビリー)ハート/(アンドリュー)シリル・デュオと同じように菊地もまた、ステージに登場し、演奏し、去っていった。ただし、彼独自の風変わりだが静かで賢明なやりかたで。
ところで、この男は一体誰?
演奏が終わると皆あっけにとられながらも拍手を続け、多くの聴衆がこの男は誰?と尋ね合っていた。彼の即興演奏を正確に再現させたいのだが、いずれにしても彼の演奏はあまり"モチアン的"と言えるものではなかったといえよう。それは、さざ波のようであり、胸躍らせるものであり、胸に響くものであった。
僕が気に入ったところといえば、彼の演奏は基本的にバラードだったのだが、語り口は静かで、能弁ではなく、しかも胸を締め付ける演奏、単に美しいだけではなく。何かを探し求めているような風情。当夜は他にも室内楽的な素晴らしい演奏があった(さしずめマット・ミッチェル=ティム・バーン・デュオなどはその典型だろう)。しかし、菊地の演奏以上にモチアン・ミステリーを本質的に捉えた演奏はなかった。つまり、確かな足取りではない不安定さと相まった、耳を慰撫されるような美しさ、足取りを乱しながら、安らぎを意識的に求めに行く感じ。菊地の唸り声もその一部であり、しかし、唸り声の伴わない演奏というのも想像し難いというのもまた事実なのだ。
この男こそモチアンが選んだピアニストであったことを理解するのは困難なことではない。『サンライズ』を何度も聴き込んだ。それでもなお聴き込みたい気持を抑えることができない。そして「テザード・ムーン」へと突き進んで行く。(ラトリフの紹介文、アイヴァーソンのインタヴューは押さえておきたい)。(ハンク・シュティーマー:TimeOut New York 上席音楽編集者)

関連リンク:
http://www.jazztokyo.com/live_report/report521.html
http://www.jazztokyo.com/interview/interview116.html
http://www.jazztokyo.com/rip/motian/motian.html

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追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄


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