Live Report #613

高瀬アキ ピアノ・ソロ ライブ
“MY ELLINGTON”
2013年11月16日(土) 17:30開場 18:30開演
主催:(株)秋田酒類製造
会場:秋田酒類製造「仙人蔵」
Reported by 竹ノ内和久 (ゲスト・コントリビューター)

        

秋田市での高瀬アキのライブは約二年ぶり。前回は井野信義(ベース)、田中徳崇(ドラムス)のトリオだったので、今回のソロのライブは彼女の違った一面を聴けてとても有意義だった。
秋田市での彼女のライブは、彼女のファンや以前ピアノを教わっていた生徒などが主体となって、いわば自主開催で、これまで何度か行って来た経緯がある。今回もそのメンバーが会場探しをしていたところ、地元の日本酒の蔵元が主催したいという話になり、醸造蔵を改装したホール「仙人蔵」を使用することとなった。
この季節は新酒の仕込みが始まっていて、会場には発酵した「もろみ」の香りが漂っていた。
今回は新作『My Ellington』(Intakt) の中の曲が中心となり、エリントン・ナンバーとオリジナル曲を数曲演奏する構成だった。ソロアルバムとしては、2001年に亡き古川あんず氏に捧げた『Le Cahier du Bal』(Leo) 以来だと思う。
70〜80年代前半の、彼女のずっと若い頃の演奏は時に叙情的な方向に流れる時が感じられた。その一面がある意味で日本では人気を得ていたようにも思えたのだけど、ドイツに移住してから音の構成がより研ぎ澄まされて厳しくなり、その叙情的な一面をすっかりそぎ落とした表現に変わってきた。いわば「縦に音を積み重ねる」ような独特のヴォイシングというか響きを意識しているように感じられる。
今回の演奏でもその「音を構成する」厳しさは変わらないが、オリジナルの演奏では少し「日本的」なメロディーがちりばめられていたのは、聴衆サービスだったのかもしれない。
それにしても、どんなに速いフレーズを弾いても一つ一つの音がクリアに聞こえ、ぐちゃぐちゃと多くの音が重なっているようでも、独特の音のまとまりとして迫ってくる演奏には、相変わらず圧倒されてしまった。

竹ノ内和久(たけのうち かずひさ)
早稲田大学第一文学部卒。学生時代に複数のジャズ喫茶のバイトを経験。出版社勤務の後、秋田に帰郷。タウン誌発行会社などの勤務の後、現在、有限会社スタジオウェブ代表取締役。ウェブ制作とフリーペーパー発行の仕事をしつつ、地元で不定期でジャズライブを自主的に企画開催中。

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FIVE by FIVE 注目の新譜


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#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
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COLUMN
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#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
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