Concert Report #705 |
第10回 イマジン七夕コンサート2014 |
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何という歌手だろう。
ルネ・コロ、1937年11月生まれだから、もうすぐ77歳。<さよならコンサート>と銘打っているし、さすがに声の衰えや歌のくずれは隠せないだろと思いながら臨んだコンサート。そんな考えは、第1部最後の『ローマ語り』でどこかに吹き飛ばされてしまった。
声の厚みと均一な響き、まったく衰えを感じさせない高音、そして何より言葉の明瞭なこと。ローマに近づくにつれ高揚していく気持ち、法王による断罪の言葉、そして再び禁断の地ヴェーヌスベルクへの道を希求するときの表情など、タンホイザーの語っている内容が直接伝わってくる。とくに法王の「ウェーヌスベルクへ行ったものには決して救済はない。」という言葉は吐き捨てるように語られ、自分がその場に居合わせたかのように感じられた。彼のこの歌、20年以上も前に聴いているが、その時以上に密度が濃く、圧倒的であった。
ルネ・コロは、祖父、父がベルリン・オペレッタの作曲家だったということもあり、オペレッタから歌手生活をスタートした。その後ワーグナー歌いとして、徐々に重い役をレパートリーとしていった。日本の聴衆の前に登場したのは、1987年のベルリン・ドイツ・オペラの『ニーベルングの指輪』公演でのジークフリート。その後も、パルジファル、トリスタンなどを舞台で歌うとともに、『詩人の恋』などの歌曲の夕べ、ワーグナーのオペラ・アリアの夕べなど、たびたび日本を訪れ楽しませてくれた。彼の声は、いわゆるヘルデン・テナーの重い声とは異なり、柔軟性がありつややかな輝きがあった。その声が今も健在であることを示してくれただけでなく、音楽の表現という面でいえば、今も進化している。おそれいりましたというしかなかった。
第2部のオペレッタの部分で彼が歌ったのは、初期のころのコロが録音や映像収録に加わっていた曲。『伯爵家令嬢マリツァ』(という訳が良いかどうか?)や『メリー・ウィドウ』でも彼の甘い声は健在であった。
最後に彼のアンコールを期待していたのだが、こういったイベントの中では難しかったのだろう、残念ながらアンコールはなかった。
このぶんだと、<さよならコンサート>(!?)での来日が、まだ何回かありそうな気がする。
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
:
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
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JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
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#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義
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#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
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