Live Report #778 |
おめでとう!〜見砂和照と東京キューバンボーイズ〜結成65周年記念コンサート |
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今日ほどビッグバンド活動がむずかしい時代はない。加えて、往年のビッグバンド時代を牽引してきた原信夫とシャープス&フラッツも活動に終止符を打った。シャープス&フラッツと肩を並べてビッグバンド黄金時代をリードし、世界的な注目すら集めたニューハードも、リーダーの宮間利之が傘寿を迎えて活動に復帰するという話題で沸かせはしたものの、かつての黄金時代の再現は望むべくもない。そんな中で、ラテン・ビッグバンドの名門、東京キューバンボーイズが結成65周年の記念コンサートを行った。これは朗報という以上の、誇張していえば快挙というにふさわしいイヴェントだった、とあえて大書したいと思う。これにはほんの少し説明が要る。
キューバンボーイズを屈指のラテン・ビッグバンドに育て上げたリーダーは見砂直照である。1949年9月の結成後、見砂直照のもとで本場のキューバの音楽界からも賞賛を集めるほどの黄金時代を築いたバンドだったが、惜しまれつつも栄光の歴史を閉じたのは1980年2月のことだった。10年後の1990年に見砂直照が他界したあとは、OBたちが集まってコンサートを開くなどの不定期な活動を続けることによって辛うじて命脈を保っていたが、復活をすすめる関係者やファンの声にこたえるべく2005年に令息の和照氏が正式に再結成して新たな活動に踏み出した。かくして昨年9月に結成65周年を迎えた東京キューバンボーイズは、年が改まった2015年の去る1月、新たに生まれ変わった東京キューバンボーイズとしての第1歩を踏み出す、その活動宣言を披瀝したというわけだ。
とはいえ、ここにあえて取り上げたのは過去の名声や懐旧趣味ゆえではなく、東京キューバンボーイズの演奏が再出発の狼煙を思わせる力強い演奏だったからに他ならない。「グラナダ」に始まって「マイアミ・ビーチ・ルンバ」、「ティコ・ティコ」、「南京豆売り」、後半で演奏した「マンボ・No.5」や「セレソ・ローサ」、バンドの黄金時代に在籍した内藤法美の編曲で多くの人々に愛された「城ヶ島の雨」など、東京キューバンボーイズゆかりの曲を、多くは現バンドの編曲者・貫田重夫の新しいアレンジで演奏し、バンドを応援するファンの期待に応えた。トロンボーン奏者でコンサート・マスターをつとめる大高實や、早稲田のハイソサエティ・オーケストラ時代は実を言えば私の同僚で、その後わが国屈指のラテン打楽器奏者として君臨し、今なお堂々と活躍する第1人者、当夜も”人間国宝”と紹介された納見義徳をはじめ、病欠の平田フミトに代わってピアノの椅子に座った名手テリー池谷ら多士済々の顔ぶれで、全盛時代を思い起こさせる活気のあるラテン・アンサンブルを披露して喝采を博したこの名門バンドの再出発をあらためて祝福したい。後半ゲスト・バンドとして招いた東京スカパラダイス・オーケストラとのバトルでも負けない力強さとノリを示して意気軒昂ぶりを発揮したこの名門バンドが、今後どんな展開を見せてくれるかを注視していきたいと思う。
ゲストも多彩。ペギー葉山を筆頭に雪村いずみ、湖月わたる、えまおゆう、久野綾希子に、後半の岸のりこ&ラス・ペルラス、ダンスのラス・エルマーナス。舞台が重なったため出演が不可能になった水谷良重も花束を持って駆けつけて祝福した。それにしても雪村いずみの声も動きも若いこと! また、20年以上も前にハバナで会ったことがある岸のりこが「ロケ・メ・ケダ・ポル・ビビール」で成熟し切った素敵なヴォーカルを聴かせてくれたこと等々、ラテン音楽の熱気に酔いながら2時間を超える熱演を存分に楽しんだ。ゲストの温かい応援のヴォーカルや演奏に祝福されて、新生東京キューバンボーイズが勢いよく船出したことを喜びたい。
最後はアンコールの「クマーナ」とキューバのサンテリア儀式に題材をとった「キューバン・ファンタジー」。客席で拍手する原信夫の笑顔が印象的だった。
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
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#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
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JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
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#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義
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#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄
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