２０１５年１月１７日、開館４０周年を迎えた神奈川県民ホールの記念オペラである。２００５年に一柳慧作曲、大岡信台本により発表された、混声合唱とピアノのための「水炎伝説」が、今回は管弦楽版(室内アンサンブル)に編曲され、オペラ「水炎伝説」として改訂初演された。この改訂版はオペラと呼んではいるが古典的な概念のオペラではない。指揮は板倉康明、演出はモダンダンスの異才・中村恩恵が振付・美術も担当。内容は時空を超えた愛と死と再生の古代神話的物語で、暁の瞬間と美の化身であるアカトキ乙女をめぐる男たちの争いから、黄泉の国に旅立ったアカトキがそこで闇を支配する姉トコヨと遭遇するストーリー。美と永遠、死と再生がテーマとなっている。歌と合唱とダンスが融合された新しい舞台が展開された。１幕３場、約６０分の上演。

林 喜代種 Kiyotane Hayashi
東京都日野市在住。80年代初めより現在までクラシック音楽を撮影。一時フォーク・ロック・ジャズ・ 民族音楽も。いま、落語・文楽に興味。（社）日本写真家協会会員。