2011年東日本大震災の直後に京都で初演されたオペラ『双子の星』（京都府民ホールアルティ委嘱）が、復興応援公演として仙台で２回、東京で１回上演された。東北の詩人、宮沢賢治の童話が原作であること、祈りをテーマとしたオペラということで、作曲家高橋裕の強い希望により、仙台オペラ協会、仙台フィル、NHK仙台少年少女合唱隊などの協力を得て実現したとのこと。
仙台では被災した小中学生たちが、東京引っ越し公演では、福島県双葉町からの避難生活をおくる中高生が招待されたという。ロビーには復興関連のパネルが並んだ。
脚本はアニメ『ドラゴンボール』の小山高生。原作にない泣き笑いのシーンも加えたもので、狂言師と俳優が舞台回しをする。第１幕はチュンセとポウセの双子の星が、大烏とサソリが喧嘩して傷ついたのを救う話。第２幕は彗星に騙されて海底に落ちた双子の星が、赤や白のヒトデや鯨との出会いののち、海蛇に案内され海の王様のはからいでふたたび天へと戻る。双子の星がヒトデや彗星の救済を願う祈りで幕を閉じる。上演時間は約２時間。音楽は能のスタイルを取り入れ、静かでわかりやすいメロディーと響きに終始した。

林 喜代種 Kiyotane Hayashi
東京都日野市在住。80年代初めより現在までクラシック音楽を撮影。一時フォーク・ロック・ジャズ・ 民族音楽も。いま、落語・文楽に興味。（社）日本写真家協会会員。