Concert Report #804 |
オーケストラ・アンサンブル金沢 第31回東京定期公演 |
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<演奏> |
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オーケストラ・アンサンブル金沢の第31回東京公演は病癒えたる我らが井上道義指揮で行われた。
1曲目はぺルトの『フラトレス』。寡聞にして他の実演に接したことがなく、はたまた映像でも見たことがないのだが、ヴァイオリン・ソロ(コンサート・ミストレスのアビゲイル・ヤング)がオケの前方に立ち、ヴァイオリン協奏曲のような形態で演奏した。本来このような形なのだろうか。パーカッションは上手ステージ袖から演奏、ぺルトの多くの曲がそうであるように幽玄で重力の感じられない、無時間的な音世界がしばし繰り広げられる。陶然。
仲道郁代が弾くベートーヴェンの『ピアノ協奏曲第4番』は、ぺルトの空気を引きずった、という訳ではないだろうがこれも「ふと気付いたら音楽が始まっていた」というようなさりげなさの極み的開始。仲道のピアノはニュアンスがよく付き、実に繊細である。井上のサポートは、少なめなオケの人数ということもあるだろうが対照的にソリッドな表現に傾いていたように思える(この曲では珍しい)。ソロとオケに若干の方向性の違いを感じながらも、不思議と違和感が感じられない佳演。
トリはシューベルトの『グレート』。ここでも、人数が少なめのオケということもあるだろうが、木管群のバランスが強めに聴こえるのが楽しい。第1楽章では冒頭からどこか冴え冴えとした雰囲気があり、手探りで進んで行くような不思議な感触がある。対して、主部の素晴らしいリズム感。この辺りの設計が見事だ。楽章終結部は金管を抑え目にして洗練されて趣味の良い、力で押さない美しい演奏となっていた(ここでこれ見よがしに盛り上げる演奏は恥ずかしい)。第2楽章では第1楽章から受け継がれるリズム的律動感に一体感がある(心持ち遅めのテンポ)。素晴らしくノリのよいスケルツォに続いての終楽章、この楽章はシューベルトが苦手な人には受け入れ難く、そして好きな人にはこの繰り返しがたまらない魅了となるのだが、井上の構築力とメリハリの付け方は実に上手い。この指揮者が『グレート』をここまで見事に演奏するとは思ってもいなかった。これは名演と言ってもよいレヴェルだと思う。
尚、終演後にはミッキー(愛称はミッチーではないです)お得意のマイクパフォーマンス。「北陸新幹線が開通しました。テレビでは金沢の特集をよくやっているけれど、21世紀美術館もオーケストラ・アンサンブル金沢も紹介しないのはけしからん!」「今日の演奏は録音していました。そのうち出します」「金沢で熱狂の日をやりますが、GWなのでホテルは取りにくいかも知れませんが、北陸新幹線のお陰で日帰り出来ます。是非金沢へ!」(細かい言い回しはともかく、大筋ではそのようなことを喋られた)。病気前よりも元気なのではないか、ミッキー!
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
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#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
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JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
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#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義
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#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄
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