Concert Report #837

初夏の風はジャズの薫り2015

6月27日(土)pm6:00開演 秋田市アトリオン音楽ホール
Reported by 竹ノ内和久 Kazuhisa Takenouchi
写真提供:アトリオン音楽ホール

エリック・ミヤシロ(tp/flg)
佐藤春樹(tb)
佐藤達哉(ts,ss)
山下弘治(b)
大阪昌彦(ds)
早川泰子(p)

第1部
モナリザ(ピアノソロ〜イントロダクション)
クール・ストラッティン'
ワーク・ソング
スイート・ラブ・オブ・マイン
ザ・サマー・ノウズ(ピアノ+フリューゲルホーン)
ナイト・イン・チュニジア

第2部
あなたと夜と音楽と(ピアノトリオ)
ラメント(ピアノトリオ+トロンボーン)
ミスティ(ピアノトリオ+テナーサックス)
ノー・プロブレム
レディ・バード
マーシー・マーシー・マーシー
(アンコール)
モーニン'
スマイル(ピアノ+フリューゲルホーン)

秋田ゆかりのミュージシャンによる満席のエキサイティングなコンサート

秋田市にある「アトリオン音楽ホール」の2015年6月の秋田県主催事業として開催されたジャズ・コンサート。
今回は、秋田を拠点として活躍しているピアニスト・早川泰子をリーダーに据え、秋田に由来のあるメンバーを集め、スペシャル・ゲストにエリック・ミヤシロを迎えた構成だった。

会場のアトリオン音楽ホールは、パイプオルガンの設備があるクラシック向けの会場で、キャパシティは700席あるのだが、コンサートの一ヶ月以上前にはチケットが完売してしまう人気となった。
会場は中学生からお年寄りまで幅広い年齢層の聴衆で埋まり、秋田で開催されるジャズ・コンサートとしては滅多にない盛況だった。 演奏は早川のピアノソロで<モナリザ>をイントロダクションとして、50年代のスタンダードをメインとした曲目構成で展開していった。
曲目リストを一見すると、コアなジャズファンは「ちょっとベタな選曲だなぁ」と感じるかも知れない。
だが演奏が進行するにつれ、ちょっと不思議な感覚が湧いてきた。演奏されているスタンダードの数々は、これまでレコードやCDで何十回、何百回となく聴いてきた経験がある。だが、これだけの一線級のメンバーが、これほどエキサイティングに演奏しているステージはほとんど経験していなかった事に気がついた。
たしかに、こういったスタンダードは、地元のアマチュアのライブとかでは頻繁に演奏され、耳に馴染みすぎているが、この日の演奏はそういった「ゆるい」ライブとはまったく異質で、エキサイティングかつ新しい解釈で、しかも高い演奏技術でどんどんと聴衆に迫ってくる内容だった。
この日のオーディエンスもそのすごさを実感していたようで、帰り際にはみな興奮した面持ちだった。
エリックは、こういったスモール・コンボでの演奏が随分久しぶりだったようで、本人も十分に楽しんでいたようだ。
エリックと早川のデュオの<ザ・サマー・ノウズ><スマイル>は本当に美しく、会場全体がうっとりしていた。
ちなみに、大阪昌彦と佐藤春樹は秋田出身、佐藤達哉は両親が秋田出身。

竹ノ内和久 Kazuhisa Takenouchi
早稲田大学第一文学部卒。学生時代に複数のジャズ喫茶のバイトを経験。出版社勤務の後、秋田に帰郷。タウン誌発行会社などの勤務の後、現在、有限会社スタジオウェブ代表取締役。ウェブ制作とフリーペーパー発行の仕事をしつつ、地元で不定期でジャズライヴを自主的に企画開催中。

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