Live Report #845 |
マイク・スターン・グループ featuring リチャード・ボナ クラブ・ボナファイド |
---|---|
リチャード・ボナのジャズクラブ「クラブ・ボナファイド」のプレオープニング・ライヴ
「Conglaturations, Richard!」あちこちから、リチャード・ボナにお祝いの言葉がかかる。ミュージシャン仲間や音楽業界関係者が集まっていた。ニューヨークにジャズクラブを持つというリチャードの夢が叶う一瞬。8月11〜13日、リチャードを含むマイク・スターン・グループでプレオープニング・ライヴ (Exclusive Sneak Preview) が行われた。9月9〜11日にリチャード・ボナ・バンドでグランドオープニングが予定されている。その前後にもすでにいくつかのライブが入っている。
Club Bonafide
212 East 52nd Street, 3rd Floor、New York, NY 10022
Phone: +1-646-918-6189
場所は52nd St at 3rd Ave。2nd Ave に向かってわずかに進んで右側の「Aki Sushi」の3階にある。同じビルには日系の「みしま」と「クリスタル」が入居する日本っぽいビル。そして、Club Bonafied も、以前は、池袋に本店があるMiles Cafe あらためSomethin’を改装したものだ。縦長で横幅8m弱だろうか、収容人数は今のテーブル配置で約100人。入口付近には、ステージがある空間と別に居心地のよいバーの空間がある。この3日間はスポンサーがついてバーでカクテルが振る舞われた。食事を提供する厨房はないように見える。おそらく、The 55 BarのようにNYのミュージシャン仲間が気軽に音を創り、ヴィレッジ・ヴァンガードのように親密な距離感で音楽をじっくり楽しむ空間になるのではないか。いや、それに加えてもっとダンサブルな音楽、ワールドミュージックなどさまざまな音楽を受け入れ育てながら、リチャード独自の世界で満たされるに違いない。
マイク・スターン・グループは、当然、オーナーのリチャード・ボナがベースで、テナーサックスにボブ・マラック、ドラマーには昨年のマイク・スターン・グループの来日メンバーでもあったライオネル・コーデュー。マイクもリチャードもヴォイスも担当する。テナーを含むカルテットは最もマイクの音楽が生きる編成だと思う。セットリストは6セットともほぼ共通で、ファーストセットはマイナーブルースの<Tumble Home>に始まり、セカンドセットは、<There is No Greater Love>のコード進行に乗っ取った<Coupe de Ville>で始まる。そして、<Wishing Well>と<Still There>で優しく切ない気持ちにさせてくれる。そして、ジミ・ヘンドリックスの<Red House>でのマイクの熱唱も会場を湧かせる。マイク、リチャードの息の合ったやりとりもよかったが、ボブのテナーサックスのプレイも素晴らしかったし、ライオネルのドラムも強力なグルーヴを生み出し、グループを熱く支えていた。
新たなホームでの初演奏だけに、リチャードもメンバーも上機嫌でリラックスし、かつ熱いプレイを聴かせてくれる。そうかと思うと休憩中もステージ上で熱心に個人練習をしたり、打ち合わせをしたり、定番の曲ながら音楽を最高に保つことへの努力は尽きない。
ミュージシャンにとってのホームであると感じる居心地のよさの中で、リチャードと仲間たちを中心に、どんな音楽を育んでいくのかが注目される。ニューヨークを訪れる際にはスケジュールをチェックして、ぜひ訪れてみて欲しい。
Eric Johnson & Mike Stern / Eclectic | Mike Stern / All Over The Place | Richard Bona / Bonafied |
【関連リンク】
Club Bonafied
http://clubbonafide.com
Mike Stern Official Website
http://www.mikestern.org
【JT関連リンク】
マイク・スターン・バンド featuring ヴィクター・ウッテン、ボブ・フランセスチーニ&ウィル・カルホーン (2015.6.6-7)
http://www.jazztokyo.com/live_report/report833.html
マイク・スターン・バンド feat. 小曽根真、デイヴ・ウェックル、トム・ケネディ ブルーノート東京 (2013.8.27)
http://www.jazztokyo.com/live_report/report572.html
東京ジャズ2014
http://www.jazztokyo.com/live_report/report739.html
『リチャード・ボナ/ボナファイド』
http://www.jazztokyo.com/five/five1028.html
ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラ directed by エリック・ミヤシロ, スペシャルゲスト: リチャード・ボナ
http://www.jazztokyo.com/live_report/report771.html
リチャード・ボナ・グループ
http://www.jazztokyo.com/live_report/report773.html
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
:
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
:
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
:
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義
:
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄
Copyright (C) 2004-2015 JAZZTOKYO.
ALL RIGHTS RESERVED.