Live Report #867

Jazz Treffen 2015
高瀬アキ ルディ・マハール ニルス・ヴォグラム
2015年12月2日 東京ドイツ文化センター
Reported by Kenny Inaoka 稲岡邦弥
Photo by Kazue Yokoi 横井一江

高瀬アキ (p)
ルディ・マハール (cl,b-cl)
ニルス・ヴォグラム (tb)

発足5周年を迎えた宮野川真が主宰するソングエクス・ジャズ社が東京ドイツ文化センターとジョイントし素晴らしいプロジェクトを立ち上げた。Jazz Treffen(ジャズ・トレフェン)とは聞きなれない言葉だが「ジャズ・ミーティング」を意味する。ドイツを中心にヨーロッパと日本から気鋭のミュージシャンが参集し、今年は海外から5組、日本から6組がトーク・セッションを挟んで10月から12月にかけ5日間にわたって演奏を披露した。

出演者は以下の通り(出演順);
森永泰弘アンサンブル
ディーター・イルク・トリオ
チェンバー・ジャズ・アンサンブル・トリオ
コリン・ヴァロン・トリオ
メルト
トーク・セッション
藤本一馬 Kazuma Fujimoto Electric Cartography
rabbitoo
ヤコブ・ブロ・トリオ
PASSIO
シミノロジー
高瀬アキ Aki Takase + Rudi Mahall + Nils Wogram

バンドの詳細については主催者の公式サイトを参照願いたいが、広い意味でのジャズを中心とした音楽の動向に関心のあるリスナーにはアンテナが鋭く反応するミュージシャンが勢ぞろいし、選択にこまったのではないだろうか。かく言う僕もECMで活躍する3グループ(コリン・ヴァロン・トリオ、ヤコブ・ブロ・トリオ、シミノロジー)を中心に全公演必聴を期していたのだが私用で残念ながら楽日に駆けつけることができただけだった。読者には、写真と記事で詳細をお伝えしたかったのだが、悠雅彦主幹に楽日の高瀬アキのベルリン・トリオを、本誌初登場の平井康嗣さんにコリン・ヴァロン・トリオの岡山公園をリポートしていただくに止まった。
ひとつ気になったことは、楽日のベルリン・トリオに聴衆が少なかったこと。告知不足かハイ・シーズンのせいか..。ヨーロッパでは満員必至のこの傑出したトリオも寂しい思いをしたに違いないが、彼らは当たり前のようにエリック・ドルフィーの名曲を中心に最高レヴェルの演奏を披露、愛らしいカリプソの小品でコンサートを締めくくった。サロンではドイツ・ワインやビールが振舞われ、出演者とリスナーの談笑の場と化した。個人的には、沖縄に移住した井野信義(b)やフライド・プライドのギタリスト横田明紀男との久しぶりの再会が嬉しかったし、本誌にも何度か執筆をお願いした台湾のジャズ・ジャーナリスト周昭平氏に予告なく会えたのが嬉しい驚きだった。音楽ジャーナリスト岡島豊樹からもたらされた吉祥寺サウンドカフェ・ズミの営業終了の知らせはオーナーの泉秀樹とはお互いに切磋琢磨しながらメディアを存続させてきただけに寂しさもひとしおである。菊地雅章の逝去、ジャズ・インディの雄EWEの閉鎖、Zeppちゃぷちゃぷシリーズの挫折と共に、僕にとっては今年最大の痛恨事のひとつである。
Jazz Treffenは来年以降も継続するようなので、今後も今年同様素晴らしいプログラミングを期待しよう。

稲岡邦弥 Kenny Inaoka
兵庫県伊丹市生まれ。1967年早大政経卒。音楽プロデューサー。著書に『改訂増補版 ECMの真実』編著に『ECM catalog』(以上、河出書房新社)『及川公生のサウンド・レシピ』(ユニコム)共著に『ジャズCDの名盤』(文春新書)。 Jazz Tokyo編集長。

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FIVE by FIVE 注目の新譜


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追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄


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