コロンビアミュージック DENON CDCQ 84832
2,500円(税込)
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮::藤岡幸夫
ピアノ:中野翔太
Recorded Live on 14 March 2010 Tokyo Opera City Concert Hall
Album Producer:Hiroyuki Okano
Recorded by Kazuhiro Tokieda
Mixed by Toshiyasu Shiozawa
Mastered by Hiroshi sato
<タルカス>「オーケストラ版」から吹き出す音の洪水は、「噴火」に相応しい爆発音の塊がぶっ飛んでくる。トゥッティの混濁を、最高のミキシング・テクニックで明瞭さを印象付ける録音には拍手を贈りたい。
私だったら飛んで逃げたくなるライブ録音の制約の中で、楽器群のバランスを録音上で再構成し、実際に聞こえるバランスに手を加え、聴き手の高揚感を煽る音像に同意し納得する。例えば、マリンバの突出した音像は、曲の重要な旋律を印象付け、一瞬のけぞるがポップな感触で聞き流せる。そして、次なる瞬間には金管群の遠くで鳴る遠近感が甦り、あっ!オーケストラ作品だと我に返る。同じように、打楽器のスネアが強調されたバランスは、あっ!ジャズだ!と。音楽の構図が、実際の演奏会バランスとは異なりながらも、その情景が生々しく思えるのだから、録音の手段として感動する。
<BUGAKU>の絶妙なバランスは、多分、これは演奏会の空間で聞かれたモノと変わらないと想像する。各楽器の鮮明な表情とホールの反射音との融合が、邦楽器を彷彿とさせる雰囲気を盛り上げる。雅楽で演じられる特有の響きを、演奏もそうだったと想像するが、音の特長を録音のテクニックとして、巧く捉えている。<タルカス>と続けて聞くと、ライブ録音のそのままが浮き上がり、落ち着きが取り戻せる。
<アメリカ Remix>はピアノの柔らかく空気を沢山含んだ音像に心地よさを感じ、演奏会場の雰囲気を気持ちよく聞ける。このピアノのポンと浮かんだ音像をバックに、オーケストラの定位がしっかりと乗る。
<アトム・ハーツ・クラブ組曲第一番>は、<タルカス>を思わせるテクニックで、表現は陰影を強く意識した録音となる。
なお、この演奏会の批評が悠雅彦氏の本誌巻頭エッセイ「新 食べある記 Vol 35」の一部として掲載されている。
及川公生:1936年、福岡県生まれ。FM東海(現・FM東京)を経てフリーの録音エンジニアに。ジャスをクラシックのDirect-to-2track録音を中心に、キース・ジャレットや菊地雅章、富樫雅彦、日野皓正、山下和仁などを手がける。2003年度日本音響家協会賞を受賞。現在、音響芸術専門学校講師。著書にCD-ROMブック「及川公生のサウンド・レシピ」(ユニコム)。
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
:
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
:
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
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#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義
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#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄
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