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ECMカタログ完成記念企画「11人のレビューワーにこっそりおききした偏愛ECMベスト11リスト ECM selected 11 」を、音楽サイトmusicircus(ミュージサーカス)で更新しました。こんな機会でもなければお願いできないようなプロのかたがたに、お願いして寄稿いただきました。セレクトにはいろんなアプローチがあって楽しめる読み物になったと思います。ありがとうございます!この場を借りて御礼申し上げます。

稲岡邦彌さんと今村健一さんのトーク・イベント「ECMの深い森 ─ ECMを取りまく謎に迫る」が来る9月5日に行われます!これはぜひ行かなければ。ECMは1969年創立で昨年が40周年、40周年を記念する意欲で制作されたECMカタログが今年出て、いろいろ盛り上がるこのところです。

ECMレーベルはひとりのプロデューサー(マンフレート・アイヒャー)による稀有な存在。1943年7月9日生まれ。現在67さい。

おれは竹田賢一さんと同じ誕生日で7月16日生まれ、3にんともかに座だな。

それではタガララジオ13を。

ぱふぱふ。深夜の光ヶ丘公園中央噴水特設ステージ納涼サウンド大会の気持ちで。マニアックな設定だな。

<track 081>
Structure / Ryosuke Hashizume Group
試聴http://www.ryohashizume.com/sound/sound.html

Ryosuke Hashizume Group
9/22/2007 recorded live @ Shinjyuku Pit Inn
w/ Motohiko Ichino (Guitar), Ryoji Orihara (Bass), Taihei Asakawa (piano, key), Masaki Akiba (Drums, Percussions)

日本のジャズ・メディアは橋爪亮輔を捕獲せよ。
この「Structure」8分16秒を聴いて、何も感じぬのか!たまんねえな、この5にんのすべての発音、ストラクチャー!微細なノイズのななめ配置具合にまで。サックスが何を話しているかわかるかねお嬢さん。

橋爪亮督(Ts, Loops)、市野元彦(Guitar)、織原良次(Fretless Bass)、秋葉正樹(Drums, Percussion)

なんかおいら、ECMファン全盛時の耳で2010年にワープしてきた感じで、も、聴きまくっているのです。稲岡編集長、このトラックだけでもアイヒャーに聴かせてやってほしい。最近のECMはおいらにはちょっと高級すぎて辛気臭い気もしてんだ。こういうトラックを、メセニー登場のような肌触りでECMスティルアライブ!とやってはもらえませぬものか・・・。

日本のジャズ・メディアには無理だな。そういうレコード会社がない。客の顔見て商売してる。当たり前だろ?ちがうんだ、音楽を視てCDを作るのだ21世紀は。いまの若い子はちゃんとわかっている。橋爪亮督グループがArtistShareでリリースするなら、20枚分ぐらいは乗ってもいい。橋爪亮督グループが聴ける新宿ピットイン昼の部というと、かつて五十嵐一生が菊地成孔と坪口昌恭に感応して東京ザヴィヌルバッハとなったことを想起する。

あ。これ07年の録音なのか。平井庸一グループで橋爪におののいた(ライブ評)より以前のものだ。今年は10年だっけ。3年も経っている。現在のドラマーは橋本学で固定になったようである。橋爪亮督グループは現在どこまで進んでいることだろう。



<track 082>
Flying part 1 / Keith Jarrett, Gary Peacock, Jack DeJohnette from 『Changes』 ECM1276

この暑いのにジャレットかい!と突っ込まないでほしい。おれ、この輸入盤LPを夏の暑い盛りに、クーラーの効いたジャズ喫茶でかけてもらって聴いたのだ。ジャケの色彩が冷やし中華はじめましただし、なんでECMのジャケなのに赤いバイクなんぞ写っているんだ?、と、思いながらも、演奏の強度に身動きできないでいた。条件反射的におれ個人が冷えるものなのか、暑さを忘れさせる強度のある演奏なのか、みなさんにおききしたい。ECMクラシックトラックス第3弾としてもここに定置したい。

だいたい異様な演奏である。

この録音はスタンダーズVol.1、スタンダーズVol.2と別々に3枚になって時期をズラして発売された、83年1月のセッションの一部なのだが。現在は『セッティング・スタンダーズ・ニューヨーク・セッションズ』3CDとして、この金字塔は一気に聴ける。「フライング」は、このセッションにおいて初めて行われた完全フリーな演奏である。「じゃあ、テーマも設定しないで演ってみようか」と、高慢なキースはゲイリーとジャックにさりげなく言ったはずである。向こう27年以上も続けるトリオになるとは思っていなかった初々しいはじめてのデートの席である。

3にんは、アドレナリン出まくりの最強のガチ勝負を、するわな。

こういうときに、おのれの最強のケルン・コンサートのトーンを置いて挑むキースであることに、おれは感動する。ゲイリーは当然揺るがないピチカートを置くことだろう。で、ジャックが!チンチカチンチカと執拗に腰の低いシンバルワークを持続させてくるのだ。な、なんだ?こいつらECM1060ソルスティスの「Oceanus」を聴いているのか!それを3にんで演ろうと言うのか!

そういう視点で聴いたリスナーはおれだけである。おおよそ妄想的な誤りであろう。



<track 083>
Leo / John Coltrane Quartet from 『Live In Japan』 (impulse) 1966

John Coltrane (ss, ts, as, perc)、Pharoah Sanders (ts, bass-cl, as, perc)、Alice Coltrane (p)、Jimmy Garrison (b)、Rashied Ali (ds)

コルトレーンのライブインジャパン4CDなんてこの暑いときに。

45分近いトラック「Leo」、1966年7月22日東京新宿厚生年金会館でのライブ、の最後の曲、いきなりマイクで「それでは花束を贈呈・・・」と入ってくるのは、すでに終演予定時刻を過ぎてしまって「もういいかげんやめてくださいよおー」と何らかの身動きがあったはずで、タイコはエンディングに向かっているが、「提供はサンケイ新聞社、サイケイスポーツ、・・・キング・レコード・・・」とアナウンスは続いている、終わっていないのに。で、終わると満場の拍手にかぶせて「ついに2時間10分の大熱演でした」「みなさまもお疲れのことと・・・」と、ふつーそんなイヤミなこと言うか?

たしかに45分もの演奏なのだ。60年代の日本の若者はヘルメットでゲバ棒を持ってジャズ喫茶でコルトレーンを聴いた、と、おれはもう80年代の新人類だから、まったく阿呆なものだとしか思えないが、当時の白黒写真とか思想的な雑誌のテキストとか古本とかで想像的に66年に戻って聴くに、それなりに熱いものが感じられる。良かった、40年代に生まれなくて。

すでにガンに冒されていたことを自覚しての演奏だという。翌年の7月17日に逝去している。夏は甲子園と広島長崎とお盆である日本人は、今の時期にしかこの演奏は聴けないような気もする。

4CDで、60分ちかい「マイ・フェイバリット・シングス」も収録されている。同曲については、原田和典著『世界最高のジャズ』光文社新書で知ったオラトゥンジの演奏がやっぱりすごいし、ロイ・ヘインズが叩いたセルフレスネスのソリッドで不穏なヴァージョンにもシビれます。




<track 084>
for maria / Keiichiro Shibuya from 『ATAK015 for maria 』 (ATAK) 2009

去年はしかのようにおいらとうちの家族全員の耳を席巻した相対性理論の続編は当然気になったわけだけど、渋谷慶一郎というひととのコラボレーション『アワーミュージック』は、音楽の録られる像自体からして違っていた感触のまま、楽曲もすでに二番煎じ感、狙い感いっぱいいっぱいの祭りのあとに何をやっても終わってしまったわたしたちはもうだめなの的な所感にしか至らなかった。雑誌のライターのみさなんはたいへんだ。

「これ、どうです?」とだしぬけに友人から聴かされたトラック。べつにたいしてうまくないし・・・、坂本龍一とも違うよね・・・、音がいいなー・・・、ジャズとは無縁だな、クラシックをしっかりしたひとが何かを描こうとしているのだけど、なんかこう、サムシングがうしろにひかえている演奏だよね・・・、これはかんたんには捨てられないものだよ・・・、と、話してみたのだった。きくと、モデルの奥さんが自殺してそして封印していたピアノを弾いた作品なのだという。




<track 085>
Wk / Bugge Wesseltoft from 『Im』 (Jazzland/emarcy) 2007

このトラックはツチ族の女性の声が入っているという。

『集団人間破壊の時代―平和維持活動の現実と市民の役割』(ミネルヴァ書房)を朝日新聞の書評で読んで、アメリカがいかに不作為、知っているのに何もできなかったか、というセンで読んだんだが、詳細すぎてようわからんかった。「二〇世紀は、アルメニア人、ユダヤ人、カンボジア人、クルド人、ボスニア人、またはツチ族であるという単なる理由から、死刑宣告を受けた世紀であった」というあれこれ。

ルワンダ紛争で大量虐殺にあったツチ族だけど、ナタで腐ったキャベツをザクザクやるような音をたてて次々と殺されていったという記述が読んでいて辛かった。左画像は遺体で埋まった川だそうだ。

ブッゲ・ヴェッセルトフトも、なんで戦争をテーマにしたこのような音楽を作りたくなったのか。ヴェッセルトフトはガルバレクの『Rites』(ECM1685/86)にこけおどしなサウンドを彩って参加していたが、ガルバレクがヤンスク・カヒーゼの歌声をそのまま収録したことが念頭にあって、このツチ族の女性の声を使ったのではないかな。


Niseko-Rossy Pi-Pikoe:1961年、北海道の炭鉱の町に生まれる。東京学芸大学数学科卒。元ECMファンクラブ会長。音楽誌『Out There』の編集に携わる。音楽サイトmusicircusを堀内宏公と主宰。音楽日記Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review。

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FIVE by FIVE 注目の新譜


NEW1.31 '16

追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄


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