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写真はエア・ドウ羽田発千歳便から、青森県三沢市上空、長靴のような湖は小川原湖。

世界は美しいはずだ。・・・翌日に、第一展望駐車場から見下ろした摩周湖は予想以上に美しかった。摩周湖には流れ込む川も、流れ出す川もない。地元民も研究者もだれも知事の許可がなければ立ち入りできない神秘の世界。

渋谷アップリンクの会場は海原になってしまうことだろう。

ぎりぎりまで原田・福島・多田は全体の選曲・構成の詰めに編集CDRを郵送しあったり悩み抜いたり提案攻撃をくり出したり次々とかわしたり、別世界で鳴るECM環境にすでに手に汗を握っているわたしです。純喫茶ECMで、お待ちしております。芸大志望のかた、オーディオに詳しいかたにはとくにご感想をいただきたく・・・。

純喫茶なんていうと、クッキングアイドル、アイ!マイ!まいん!、NHK教育、の、柊(ひいらぎ)まいんちゃん、に似ているはたちのときの恋人のことを思いだしてしまう。

無罪を勝ち取った村木元局長にも似ている。村木厚子元局長、若いころはさぞかしトミーフェブラリーだったことだろう。ヘヴンリーだったりして。ほしいものはいつも、まっすぐにてにはいらないほうが、ぜったいドラマチック!

美しい風景に触れると免疫力が高まるのでございます。

<track 089>
Magic Carpet (26:38) / Lotte Anker, Craig Taborn, Gerald Cleaver from 『Live at the Loft』 (ILK ) 2009

そもそもこのオランダのイルク(ILK)・レーベルには、アンデルシュコフ盤「不可知論者の黙示録」(タガララジオ8 )で、注目しはじめていたわけだが。

タガララジオ10 、栄光の現代ジャズ2010年の名刺盤とも言うべきクリス・ライトキャップのスーパーグループ「ビッグマウス」、でも、ツートップの存在であったエレピのクレイグ・テイボーン、タイコのジェラルド・クリーヴァー。いやはや10年たっても、このふたりに注目できない素晴らしき世界というのは、やはりおいらの耳にモンダイがあるとでもいうのか?、と、砂川の墓参りにマサオ兄いとキヨシ兄いに問いかけてみてきた・・・。シャキーン、必殺仕置き人。テイボーンとクリーヴァー。イルク・レーベル。女性サックス奏者とのトリオ。ライブ盤。

26分38秒、いやー、このジャズの旅路のようなやりとり、ちょっとしたスイッチのちがいから、奥の細道から大樹の根っこのトンネルを抜けると山頂が見えているのに大きな藪、降り出すヒル、一音一音のズレにそれぞれ3者の保持する空間の必然をひそませあう、時間。図形が刻々と変化する美しさに呆然としたまま妹と立ち尽くす夕焼けを見ていた昭和49年秋の函館。

ネットでぐぐると笑ってしまうぜ、ビートルズの「プリーズ・プリーズ・ミー」における表現の必然に模して、この26分38秒が語られている!Jazz Times のこのレヴューだ。地球規模の共感のテレパシーが響きあう瞬間だ。

アマゾンのこのセレクション「クレイグ・テイボーンいろいろ」は見ているだけで役に立ちます。すばらしいですー。


ガールフレンド?のような女の子と、ここはどこだというゲームをしている。目隠しを取って、その場所が何区なのかを彼女に語りかけている。ここは綾瀬だから足立区、正解。数秒後に、目隠しを取る。この中華料理屋は品川区。ちがうよ、ただくん、港区だよ。また目隠しをされながら・・・。なぜおいらは数秒で都内を瞬間移動出来たりしているのだろう。その疑問を口にすると、おそろしいことが起こるような気もする。

目隠しを取ると、木造の建物の音楽喫茶に着いている。浅黒い中南米から来たと思われる細身のミュージシャンがギターを持って椅子に座って弾き語りをしている。ぼくは彼女とアイスコーヒーを飲みに来ただけなんですけど、と、店員の男性に言うと、もちろんわかってますとも!と言わんばかりの身動きでぼくたちをミュージシャンが見えない場所に座らせて、店員はミュージシャンのバックバンドになっていった。

ミュージシャンが歌う曲を歌えるので、うれしくなってアイスコーヒーを持ちながら席を立ってコンサートを観賞し始める。コンサート目当てに喫茶店にやってきた若者が次々に入り口で1まん5せんえんを支払っている。

ミュージシャンがインタビューに応じて「日本の大統領はツートップではなくて、ホタテなのか?」ときいている。

彼女に向かって、あ、この曲はミルトン・ナシメントの小麦色のきみの肌とかいうタイトルなんだよー!と言っている。


<track 090>
Been So Long (23:29) / Haunted House from 『Up in Flames』 (Erstwhile 002) 1999

Loren MazzaCane Connors guitar, Suzanne Langille vocals, Andrew Burnes guitar, Neel Murgai persian daf

わお、フリーメイソンの万物を見つめる目やんけ、と、手に取ったら、このハウンテッド・ハウスというのはローレン・マザケイン・コナーズ(ギター)のバンドなのかー、と、入手したCDがこれ、は、インプロなのでしょうか、ドローンなのでしょうか、ロックなのでしょうか、この世の果てで鳴りつづけるような印象的なトラック。このアーストワイルという新しいレーベルの審美はここに極まっているでしょう!と断定していた当時のわたしでした。

万物を見つめる目、は、イルミナティの目、1ドル札の目だそうで、20世紀少年の目でもあるそうで。

アーストワイルの設立者ジョン・アビーさんの耳が彼らハウンテッド・ハウス4人のピークを捉え、ここに唯一の録音が残っているというのは、実に奇跡的なことのように思っている。この孤高のギタリスト、ローレン・コナーズ、いつからかミドルネームのマザケインが無くなってしまっている、の、存在感の音とも言うべき、何かを感じさせる、技術論やシーンを支える語法に還元することすら難しい、テキトーにアタマの良いリスナーには「くだらぬ、いかもの、なにもなげ」とスマートに言われてしまうことも織り込まれているような、ひそやかなインプロ。

廃盤で入手困難だろうと思っていたけど、こないだアーストワイルに問い合わせたら、まだ在庫あり!との報せ。


20分をこえるナンバーを2曲ならべてしまいました。

イエスの危機は20分越えをしていないんだな。


<track 091>
儀式 Ritual/Nous Sommes Du Soleil / Yes from 『海洋地形学の物語 Tales from Topographic Oceans』 (Atlantic) 1973

03年に発表されたリマスター盤では1曲目の「神の啓示」のイントロに1分56秒が追加されていた(!)という、イエスの海洋地形学を忘れていた。これで「神の啓示」も20分越え、に。「古代文明」の間奏的バラードのところがじつはいちばん好きかもしれない。

そろそろ本格的に再評価されていい2枚組。



<track 092>
Who Am I ? / Agnes Chan from 『不思議の国のアグネス+AGNES IN WONDERLAND-HOME RECORDING DEMO IN 1979』

このアグネス・チャンの名盤!、が、09年に2枚組となって再発されていたとは!銀河鉄道999でブレイク直前のゴダイゴとの奇跡のコラボレーション。どんだけすばらしい作品であるかは、ネットで調べるべし。

この「I hardly know, Who I am...」と歌うアグネスの詩情は、原田真二の名盤『Feel Happy』(1978)における終曲「黙示録 The Revelation 」の「嗚呼、君は誰なの?」に呼応している。

ああ・・・。

この黙示録で歌われる少女がトゥシューズで水面を描くのは、摩周湖が似つかわしいのだ。


Niseko-Rossy Pi-Pikoe:1961年、北海道の炭鉱の町に生まれる。東京学芸大学数学科卒。元ECMファンクラブ会長。音楽誌『Out There』の編集に携わる。音楽サイトmusicircusを堀内宏公と主宰。音楽日記Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review。

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FIVE by FIVE 注目の新譜


NEW1.31 '16

追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄


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