Vol.17 フォルケ ホイスコーレ
text by 田中鮎美 Ayumi Tanaka
photos: courtesy of Toneheim Folkehogskole, Hamar

 高校を卒業する18歳や19歳の頃に人と関わり合いながらたっぷり何かに没頭したり自分を見つめなおす時間を持てたらすごくいいな。

 そういうふうに考えたことはないでしょうか。

 北欧には "フォルケ ホイスコーレ" という学校制度がある。生徒のほとんどが高校を卒業したばかりの子供たちで、彼らは1年間ここで住み込みの共同生活をしながら共に学ぶ。

 ノルウェーにも80近くのフォルケ ホイスコーレがあり、学校によって学べる分野が様々だ。それは音楽をはじめ、美術、写真、音響・舞台、ダンスなどの芸術分野からコンピューター、メディア、文化・社会学習、スポーツなど多岐にわたる。

 ノルウェーでジャズを学べるフォルケ ホイスコーレはトーンハイム・フォルケ ホイスコーレ(Toneheim Folkehoyskole)とスン・フォルケ ホイスコーレ(Sund Folkehoyskole)の二つがある。ノルウェー国立音楽大学で学ぶ友人の多くもこれらの学校の卒業生で、みんな口を揃えてフォルケ ホイスコーレで学んだ一年間は本当に人生において大切な時間だったと言う。

 先日コンサートのアために友人の出身校であるトーンハイム・フォルケ ホイスコーレを訪れ、そこの学校の運営をされている方と話しをさせていただく機会があった。海外の生徒も積極的に受け入れているそうで日本の子供たちにも是非たくさん来てもらいたいと話されていた。つねに多くのノルウェー人に囲まれて生活するのでノルウェーの大学を受験するのに必要なノルウェー語の習得に役立てることもできる。入学試験やテストがなく “学びたいから学ぶ”という気持ちに溢れた子供たちの姿がある。海外で生まれ育った子供や障害をもった子供たち、いろいろな背景を持った子供たちが一緒に助け合いながら暮らし学んでいる。そういえばノルウェーの友人は面倒見がいいというか、ちょっとでも困っていたらすぐに助けようとしてくれるが、これはフォルケ ホイスコーレで共同生活の経験をした彼らだからうまくできることなのかもしれない。

 私がいつか子供を持つことがあれば、このような学ぶ場があることを教えてあげたい。


編集部註:
https://twitter.com/folkehojskole


田中鮎美:
3歳から高校卒業までエレクトーンを学ぶ。エレクトーンコンクール優勝、海外でのコンサートなどに出演し世界各国の人々と音楽を通じて交流できる喜びを体感する。
その後、ピアノに転向。ジャズや即興音楽を学ぶうちに北欧の音楽に強く興味を持つようになり、2011年8月よりノルウェーのオスロにあるノルウェー国立音楽大学(Norwegian Academy of Music)のjazz improvisation科にて学ぶ。Misha Alperinに師事し、彼の深い音楽性に大きな影響を受ける。

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