フランスのオーボエ奏者の巨匠。１９６７年にパリ管弦楽団の創設と同時に首席オーボエ奏者に就任。その見事なソロの演奏ぶりは聴衆を虜にした。華やかで美しい音色、優しく情緒あふれる音楽はほかに見ることのできない魅力に溢れている。
今回の演奏もフランス音楽の趣を堪能させられた。パリ高等音楽院で１９５８年にオーボエを、１９５９年に室内楽を最優秀で卒業。ジュネーブ、ミュンヘン、プラハなど数多くの国際コンクールでその名を知られるようになる。１９７９年にソロ活動を始め、世界のオーケストラと共演する。その年にパリ管を辞し、パリ国立高等音楽院で教え始める。室内楽にも意欲的で、モーリス･ブルグ木管アンサンブルを創設し活動する。パリ管以前はスイスのバーゼルでバロック音楽の名手としても大活躍をしたことはよく知られている。
今回のプログラムは前半がC.P.E.バッハ、モーツァルト、シューマンで後半はデュティユー、プーランクの２０世紀フランスの作品が並ぶ。幅広い曲目を披露する。教育者としての顔もあり世界各地で数多くのマスタークラスを行っている。
またフランスの作曲家からの献呈作品もある。たとえばアンリ・デュティユーの｢Les Citations（２つの引用）｣を１９９１年ブザンソン国際音楽祭で初演。オリビエ・メシアンの｢コンセール・ア・キャトル｣もドイツとオーストリアで初演している。
オーボエのもう一人の巨匠ハインツ・ホリガーの剛とは対局にある柔の演奏家かもしれない。
今年の１０月にはオーボエ・コンクールの審査員として再来日する。