音響空間に漂う、作り事のないジャズ・サウンドの心地よさがたまらない。ピアノの適度な距離感を持つ表現と緊張のある抜けの良さ。ドラムスの空間に漂う音像の拡散と芯の鋭さ。ベースの低音域の安定感に加えて音像の大らかな表現。
フルート、サックス、の心地いい音色と、何処を取っても、耳に快適なジャズ・サウンドだ。
スタジオのアコースティックを最大限に生かし、マイキングの処理に重きを置いた録音姿勢に好感を持つ。多分、最小限のマイク使用で録音をやり通す決意のようなものが、エンジニアの心に潜んでいたのではないか。サウンドの透き通った感触から、多くの事がうかがえる。
古くさいALTECで、熟成したアナログ録音絶頂期のサウンドを彷彿とさせる音響を楽しんでいる。口径の大きなウーハーが醸し出すベースの音は、ジャズ・サウンドを楽しむ者にとって至福の時間だ。楽器の芯となる領域を大らかに捉えた録音に応答するスピーカーは、愉快に振動し鼓動している。
録音からマスタリングまでDSD方式で通したこと、ディスクのグリーン・レーベル・コートなど、注目すべきテクニカルも、高音質に貢献していることは明白。
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