COLUMN#121 OIKAWA:JAZZTOKYO

『Jane Ira Bloom／Wingwalker』
text by Kimio OIKAWA

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Jane Ira Bloom (ss, live electronics)
Dawn Clement (pf)
Mark Helias (b)
Bobby Previte (ds)

1.Her Exacting Light
2.Life On Cloud
3.Ending Red Songs
4.Freud's Convertible
5.Airspace
6.Frontiers In Science
7.Rooftops Speak Dreams
8.Rookie
9.Adjusting To Midnight
10.Live Sports
11.Wingwalker
12.I Could Have Danced All Nigh
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Produced by Jane Ira Bloom
Recording & mix engineer: Jim Anderson
Recorded at Abatar Studio, NY 2010.6

ジム・アンダーソンの端正な性格が伝わる素晴らしい録音

朗々とした音響空間を造り出す仕掛けが素晴らしい。ソプラノサックスを取り囲むミュージシャンの空気の暖かさをも感じ取る録音だ。各楽器の音に、空気の膨張感がある。エフェクトにも電気仕掛け臭さがなく、マイクが捉えた音質にこだわった録音姿勢に自然体を聞かせ、ジム・アンダーソンの端正な性格が伝わってくる。
ソプラノサックスの少し距離感を持たせた感触の処理、リバーブのテクニックにも神経が行き届いて、これが音に透明さをもたらし、ソプラノの音色が、初っぱなの印象を固める。
距離感を伴うドラムスも、タムのど迫力な音圧を伴う音像表現が突然現れたり、オーディオの快感が伴い、ついつい身を乗り出すのは、これがジャズ・オーディオの危険な仕掛けか。ベースの控え目なバランスにも、弦の振動の鮮やかな音が聞いて取れ、これも同様に録音ならではの仕掛けに狂気する。ピアノの響きが大きく表現され、音像も豊かな空間を描きオーディオ空間を濃厚に、しかもシャープに浮き上がらせ、スピーカー前面の音像を支配する。

及川公生：1936年、福岡県生まれ。FM東海（現・FM東京）を経てフリーの録音エンジニアに。ジャスをクラシックのDirect-to-2track録音を中心に、キース・ジャレットや菊地雅章、富樫雅彦、日野皓正、山下和仁などを手がける。2003年度日本音響家協会賞を受賞。現在、音響芸術専門学校講師。著書にCD-ROMブック「及川公生のサウンド・レシピ」（ユニコム）。

『Jane Ira Bloom／Wingwalker』 text by Kimio OIKAWA

1.31 '16

『Jane Ira Bloom／Wingwalker』
text by Kimio OIKAWA