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Vol.66)| スタン・ゲッツ       1973 東京
text by Seiichi SUGITA

 ぼくが25年もの永きにわたり乗り継いでいるクルマは、BMW325iである。BMWとは原語でいえば、バイエルン・モーター・ワークスの略。
 何故、BMWなのか?単なるドイツ好きだからではない。じつは、BMWは、ボブ・マーリーの愛車だったから。レゲエの巨人がイギリス車じゃないっていうのが気に入りましたね。ちなみにボブの父親はイギリスの将校。何故かって?ボブ・マーリー&ウェイラーズの略(BMW)だからですよ。
 で、このところエサ箱あさりの成果はいかがですかな。ヴォーカルあたり何かみつかりましたか?
 あまり、教えたくはないのですが、じつは、ぼくはカクレ(?)シヴィル・シェパードのファンなのです。別にカクレなくてもいいんだけど。LPもCDも出ている『マッド・アバウト・ザ・ボーイ』(TWI)は、オーマガトキ(新星堂)が、一時、直輸入盤で力を入れております。ぼくは、シヴィルのTVドラマ「こちらブルームーン探偵所」のカクレ(?)ファンなのです。シヴィルは、60年代のトップ・モデル。きょう日、流行のスレンダーじゃないところ、とてつもないインテリジェンスにあふれているところが本当にたまらないのです。セクシーさがストレートじゃないところがまた、良いのです。さらにいうと、ソフィスティケイテッドされた都会性__。
 選曲の趣味の良さはもう、申し分がない。それもそのはず、アレンジはボサノヴァの重鎮、オスカー・カストロ・ネビス(g,p)。tbはフランク・ロソリーノ。そして、tsは何とスタン・ゲッツ。そう、『ゲッツ/ジルベルト』(Verve)の__。
1曲目は、アントニオ.・カルロス・ジョビンの<トリステ>であるが、<言い出しかねて><アイム・オールド・ファッションド><スピーク・ロウ>とmなかなかの通好みではある。
 ドライヴ中は、必ずかける1枚である。

 

 というわけで、何故BMWかっていうと、「ブルームーン探偵所」のヒロイン、シヴィルがいつも乗っているのは、アメ車じゃなくって、BMWだからなのです。
 ちなみに、帝王マイルス・デイヴィスの愛車は白のフェラーリ、サド・ジョーンズのはポンコツ・コロナ。オマスズ(鈴木 勳)のは、ジャガーEタイプ、スガちん(菅野邦彦)のは、サンダーバードである。渡辺貞夫はローレルの、日野皓正はマツダのCMに出ていたけれども、愛車かどうかは定かではない。
 吉祥寺「ファンキー」のマスターは、ランボルギーニ、新宿「DUG」のマスターは、BMWをこよなく愛していた。
 それはともかく、ゲッツって、バックにまわった方がクールでいいと思いませんか?僕がゲッツのナマと最後に出会ったのは、73年厚生年金ホール。リーダーとしてはかなり粗っぽく、知性のカケラすら感じられない。最も光ったのは、リッチー・バイラーク(p)。キース・ジャレットとチック・コリアを足して2で割ったようなテクニックとクールさ。まるでクリスタルのような精緻なエモーションと優しさが、つい昨日のように想い起こされる。
 後日、ニューヨークでバッタリ出会ったリッチーはでっぷりと太り、ごっつい皮のブーツを履いている。
 男はタフでなければ生きていけない。優しくなければ生きる資格がない!?
「ニューヨークでは、自分の身体は自分自身で守らなくっちゃね」
 リッチーはウェスタン・ブーツの模様を誇らしげに見せてくれる。リッチーのピアノは、さらにクールさを増し、宝石の感光の冷たさが、優しい美に満ちていることを知らしめてくれる。(2010.8.25)

杉田誠一
杉田誠一:
1945年4月、新潟県新発田市生まれ。
1965年5月、月刊『ジャズ』、
1999年11月、『Out there』をそれぞれ創刊。
2006年12月、横浜市白楽に
cafe bar Bitches Brew for hipsters onlyを開く。
http://bbyokohama.exblog.jp/
著書に『ジャズ幻視行』『ジャズ&ジャズ』
『ぼくのジャズ感情旅行』。
http://www.k5.dion.ne.jp/~sugita/cafe&bar.html
及川公生のちょっといい音空間見つけた >>

♪ Live Information

     (*●●●● 14 Nites)
3/01 (火) *竹内 直(b-cl)+●●●●(b-cl)
3/03 (土) *●●●●(cl,ts,fl,b-cl,perc)
3/04 (金) 秋山一将(g,vo)+清水絵里子(p)
3/05 (土) *加藤崇之(g)+●●●●(cl,ts,fl,b-cl,perc)
3/08 (火) *●●●●(cl,ts,fl,b-cl,perc)
3/11 (金) *斎藤 徹(b)+●●●●(cl,ts,fl,b-cl,perc)
3/12 (土) *Soon Kim(as)+●●●●(cl,ts,fl,b-cl,perc)
3/15 (火) *●●●●(cl,ts,fl,b-cl,perc)
3/17 (木) *●●●●(cl,ts,fl,b-cl,perc)
3/18 (金) 小島伸子(vo)+今村信一郎(p)
3/19 (土) *坂田 明(as)+●●●●(cl,ts,fl,b-cl,perc)
3/20 (日) JUNマシオ(mc,vo,笛,perc)&イエロー・ジャズ・プロジェクト
3/21 (月) Soon Kim(as)
3/22 (火) *●●●●(cl,ts,fl,b-cl,perc)
3/25 (金) *河野康宏(b)+●●●●(cl,ts,fl,b-cl,perc)
3/26 (土) *佐藤えりか(b)+●●●●(cl,ts,fl,b-cl,perc)
3/30 (水) *モチ・ラボ:望月 孝(g,perc)+●●●●(cl,ts,fl,b-cl,perc)
3/31 (木) *さが ゆき(vo)+●●●●(cl,ts,fl,b-cl,perc)
*詳細は;http://bbyokohama.exblog.jp/
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FIVE by FIVE 注目の新譜


NEW1.31 '16

追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄


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