『Colin Vallon-Patrice Moret-Samuel Rohrer/Rruga』
text by Kimio OIKAWA

ECM 2185

Colin Vallon (p)
Patrice Moret (d-b)
Samuel Rohrer (ds)

1. Telepathy
2. Rruga
3. Home
4. Polygonia
5. Eyjafjallajokull
6. Meral
7. Iskar
8. Noreia
9. Rruga, var.
10. Fjord
11. Epilog



スワロフスキーを眺めている感動に似た音体験

同心円を描きながら波紋の広がる水面を想像する。音場空間の描き方の絶妙なリバーブ処理の采配に感服。加えて、リバーブの対象となるピアノ、ドラムス、の配慮の行き届いた高音質録音も注目したい。
ピアノが豊かにリバーブの渦に泳ぐ様でも、音像が崩れることなく芯の堅い音質を保ち、響きに透明感を感じさせるのは驚きだ。拡散されても音の塊は突き抜けていく。豊かな響きを持つホール空間でも得られない録音のなせる技だ。特に低音部に対して。
対するドラムスにもシンバルのリバーブ、タムのリバーブ、それぞれに神経の行き届いた配慮のエフェクトがあり、個々の原音に豊かな装飾を加える。時に、ナマっぽく、音像をカチッと決めた時の音質の素晴らしさも、計算尽くとは言え、スピーカーの発する音像の渦から突然抜け出したような現実感に、録音を生業とする仲間の仕掛けに脱帽だ。アコースティックな優れた音質で、淡々と聞かせるベースの配慮は、全体の安定感に繋がっている。そこにベースが置いてあるような安定した音像が大きく迫る。
スワロフスキーを眺めている感動に似た音体験だ。

Recorded May, 2010
Studios La Buissonne. Pernes-les/Fontaines
Engineers:Gerad de Haro, Nicolas Baillard

及川公生:1936年、福岡県生まれ。FM東海(現・FM東京)を経てフリーの録音エンジニアに。ジャスをクラシックのDirect-to-2track録音を中心に、キース・ジャレットや菊地雅章、富樫雅彦、日野皓正、山下和仁などを手がける。2003年度日本音響家協会賞を受賞。現在、音響芸術専門学校講師。著書にCD-ROMブック「及川公生のサウンド・レシピ」(ユニコム)。

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NEW1.31 '16

追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
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