クラリネット奏者のカール・ライスターがまた草津にやって来た。今年第３３回目を迎えた「草津夏期国際音楽アカデミー＆フェスティヴァル」でクラリネットのマスター・クラスを持ち、教授たちによる毎夕４時からのコンサートに、協奏曲・室内楽などで数回出演した。ライスターのクリアーで馥郁たる甘い響きは独自の音楽の世界である。リハーサルでも本番でも真摯な音創りの妥協のない姿は印象的である。多くの聴衆が魅了された。
またライスターは無二のカメラ好きである。この音楽祭に集う音楽家たちにカメラを向けている。「一番残念なことは自分の演奏姿を自分で写すことが出来ないことだ」と嘆く。多くの人が頼まれてシャッターを押している。またお気に入りのカメラはオリンパスのフィルム用のコンパクトカメラである。このカメラは気に入っているので１０台も持っていると胸を張る。
CDは各社から数えられないほど出ているが、今年７５歳を記念して，ライスター本人自薦の過去の録音を集めたCD「キング・オブ・クラリネット」のタイトルで２枚組が出た（７/２５ カメラータ・トウキョウ）。収録時間は１５０分を超す。たっぷりとライスターの音の世界に遊ぶことができる。
ライスターはカラヤンのベルリン・フィルに入団し大活躍した。ベルリン・フィルハーモニー・オーケストラ・アカデミーの創設以来、未来の音楽家たちの教育に当たり、多くの教え子が世界で活躍している。ロンドン王立アカデミー名誉客員教授を務める。