『静寂と情熱-チェロの音色に酔いしれる極上のひととき』とコンサートのチラシにある。地味で目立たない人柄だが聴く人を確実に、虜（とりこ）、にする音楽を聴かせる。ハンガリー生まれのチェロ奏者。現在はウィーン国立歌劇場管弦楽団とウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のソロ・チェロ奏者。これらの楽団や室内アンサンブルとの来日は多くを数える。草津音楽アカデミーのマスター・クラスの講師として受講生に人気を集めている。また心温かい人柄の音楽家でもある。昨年の草津アカデミーではスタッフのためにJ.S.バッハの無伴奏チェロ組曲を演奏して労をねぎらった。事務局スタッフがハード・スケジュールにもかかわらず間違いもなく正確にこなす仕事ぶりに感謝の気持を演奏で表したのである。何とも言えない心の交流が演奏を通じて広がっていった。今回のコンサートも無伴奏チェロだった。前半はJ.S.バッハの無伴奏チェロ組曲第２番・第４番を、後半はコダーイの無伴奏チェロ・ソナタを演奏。コダーイは生まれ祖国ハンガリーの大作曲家である。自ずと演奏には熱が入る。上着を脱いでステージに上がる。５０分を超す熱演に聴衆は釘付けになる。この曲はＣＤによってすでに評判になっている（CMCD-28201／カメラータ、最新盤のCMCD-28266にもコダーイのチェロ・ソナタが入っている）が生演奏は初めてである。日本に来ると必ず立ち寄るラーメン屋がある。ラーメンが大好きなのだ。自分で選べるのが気に入っている。それはトンコツスープのラーメン。目の離せないチェリストの一人である。