COLUMN#136 OIKAWA:JAZZTOKYO

『ヴァンガード・ジャズ・オーケストラ／フォーエバー・ラスティング～ライブ・イン・トウキョー』
text by Kimio OIKAWA

PONY CANYON PCCY-30192 \3,000 (税込)

Tp,Flh: ニック・マルキオーネ（リード）
テレル・スタッフォード
ターニャ・ダービー
スコット・ウェンホルト
Tb:
ジョン・モスカ（リード）
ルイス・ボニーラ
ジェイソン・ジャクソン
ダグラス・パーヴァイアンス（バス・トロンボーン）
Sax:
ディック・オーツ（リード／as,ss,fl）
ビリー・ドリュース（ss,ss,fl,cl）
ウォルト・ワイスコフ（ts,fl）
ラルフ・ララマー（ts,cl,fl）
ゲイリー・スマリアン（bs）
Ryhthem Section:
マイケル・ワイス（p）
ジョン・ライリー（ds）
デイヴィッド・ウォン（b）
宮嶋みぎわ（p）*ボーナス・トラックのみ

DISC 1：
1. Low Down (Thad Jones )
2. You Tell Me (Jim McNeely)
3. 61st and Rich' it (Thad Jones)
4. One Finger Snap (Herbie Hancock/編曲:Bob Mintzer)
5. I Love You (Cole Porter/編曲:Thad Jones )
6. Extra Credit (Jim McNeely)
7. Central Park North (Thad Jones)

DISC 2：
1. All of Me (作詞/作曲:Seymour B Simons , Gerald Marks/編曲:Thad Jones )
2. Don't Ever Leave Me (Thad Jones)
3. Nasty Dance (Bob Brookmeyer (Robert Edward Brookmeyer) )
4. Hardly Ever (Jim McNeely )
5. Little Rascal On a Rock (Thad Jones)
6. Fingers (Thad Jones )
7. Forever Lasting (Thad Jones )

録音：富　正和＠ビルボードライブ東京 2010年11月26日～28日
プロデューサー：Douglas Purviance

素っ気ない程の仕上がりに、かえって新鮮さが突き刺さる

アナログ録音か？と思える充満した音の塊がたまらない。ライブ環境そのままも嬉しい贈り物。リバーブ処理、EQ等の化粧っけなし、素っ気ない程の仕上がりに、かえって新鮮さが突き刺さる。
低音部の安定感が印象的だ。ドスの利いたベースとキックの低音がウーハーを揺るがし、土台を構築し、ビッグバンドを強固に支える。
演奏技術の超絶さを、細心のフェーダー・テクニックで支えたミクシングが光る録音だ。サックス・セクションの絶妙なミックス。トランペット・セクションの神経の行き届いた距離感の設定、ステレオ空間の音像定位の配慮も当日のライブを聴いているようだ。
管楽器セクションの各パートの音色に注目したい。最初にアナログか？と言及した様に、適度な音圧の平均化と、丸みを帯びた輪郭の柔らかさが、アナログテープの特質と良く似ている。マイキング、マイクロフォンの選択に重力を感じる録音だ。

及川公生：1936年、福岡県生まれ。FM東海（現・FM東京）を経てフリーの録音エンジニアに。ジャスをクラシックのDirect-to-2track録音を中心に、キース・ジャレットや菊地雅章、富樫雅彦、日野皓正、山下和仁などを手がける。2003年度日本音響家協会賞を受賞。現在、音響芸術専門学校講師。著書にCD-ROMブック「及川公生のサウンド・レシピ」（ユニコム）。

『ヴァンガード・ジャズ・オーケストラ／フォーエバー・ラスティング～ライブ・イン・トウキョー』 text by Kimio OIKAWA

1.31 '16

『ヴァンガード・ジャズ・オーケストラ／フォーエバー・ラスティング～ライブ・イン・トウキョー』
text by Kimio OIKAWA