フィンランド出身の若き指揮者ピエタリ・インキネンが世界で注目を集めている。この春、日本フィルの指揮台に立ち、シベリウスの交響曲全７曲を振った。３月の初回は第１番と第５番。２００８年ニュージーランド交響楽団の音楽監督に就任。ニュージーランド国内ツアーとシベリウスの交響曲全曲レコーディングで絶賛され、２０１０年１１月のヨーロッパ・ツアーではヴァイオリンのヒラリー・ハーンを同行し大成功を収めた。
２００９年９月より日本フィルの首席客演指揮者に迎えられている。２０１２年にはマーラーの交響曲選集演奏で高い評価を得ている。第５番がCD化され今年１月に出た。そして２０１３年の今年は故郷フィンランドの作曲家、ジャン・シベリウスの交響曲全７曲の全曲演奏を敢行した。日本フィルとシベリウスの関係は深い。創立指揮者の渡邉暁雄は母がフィンランドの人であり、そして１９５７年日本フィル第１回定期演奏会に彼はシベリウスの交響曲第２番を指揮している。この１９５７年はシベリウスの没年でもある。そしてインキネンは世代は違うがフィンランドの国民性を十分に受け継いでおり、シベリウスの音楽を理解し表現できる指揮者である。全７曲を３日間で演奏したが、その組み合わせは自分の納得のいくものにしたという。来日の度に楽しみにしているのが日本での食事。焼き肉大好き。それも炭火焼きでないとダメらしい。ラーメンも大好物。ラーメンとチャーハンを注文することも。今年９月にはワーグナー生誕２００年を記念してオール・ワーグナー・プログラムを日本フィルで演奏する。聖地バイロイト音楽祭に常連のサイモン・オニール、エディス・ハーラー、マーティン・スネルといった世界的歌手が勢揃いする。インキネンのオペラの手腕が聴きどころであり楽しみでもある。