#64. 井上道義
指揮者
2013年4月15日 サントリーホール



井上道義は、この春に来日したサンクトペテルブルク交響楽団日本公演での指揮者を務めた。ツアーでオール・ロシアン・プログラムを振る井上道義に、30年以上同楽団を率いる音楽監督のアレクサンドル・ドミトリエフも全幅の信頼を置いているという。サンクトペテルブルク交響楽団との出会いは1974年27歳の時「幻想交響曲」を振ったことに始まる。レパートリーでロシア音楽が多いのは、という問いに井上は、「自分はあまり日本人とは思っていないからだよ。自分はなに人なのか・・・年中思っている、当然日本人なのだけど、もしロシア人だったら、・・・あと日本の作曲家でいえば、僕が武満さんだったら、どういう気分だっただろうなあとおもいながら音楽をやっている。僕は化けるのが好き、人の気持ちになるというのが割と好き。ショスタコーヴィチからは非常に特殊な影響があった。グバイドゥ―リナの作曲したヴァイオリン協奏曲『オッフェルトリウム』は特別僕に影響があった」と答えている。核実験への国際的非難の高まった3月には北朝鮮を訪問。現地の楽団、朝鮮国立交響楽団を指揮し、ベートーヴェンの「第九」を北朝鮮で初演した。「全ての人々は兄弟になる」と歌い上げる合唱が2012年4月に開館した平壌の人民劇場に響いた。5日間のリハーサルの多くは第4楽章に費やされたという。ソリストには2人の日本人歌手が参加した。聴衆は一般の音楽愛好家が意外と多かったという。井上の訪朝は物議を醸した。オーケストラ・アンサンブル金沢の音楽監督を務める地元議会でこの訪朝が議題になった。井上は「ぼくは政治家に出来ないことをして来たつもりだ」と語っている。そして「僕は音楽家として音楽家にできる仕事を全うするのみ」という。それこそ井上道義の真骨頂であろう。

林 喜代種:東京都日野市在住。80年代初めより現在までクラシック音楽を撮影。一時フォーク・ロック・ジャズ・ 民族音楽も。いま、落語・文楽に興味。(社)日本写真家協会会員

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FIVE by FIVE 注目の新譜


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追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
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#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
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オスロに学ぶ
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ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
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