Vol.35
ムーンライト・セレナーデ 日本津々浦々




先日、<ムーンライト・セレナーデ>のアレンジをした。
音楽家として、音楽と月は切っても切り離せない...。
そして、中秋の名月とは、よく言ったものだ...。
秋の90日の真ん中。
やはり中国から伝わったらしい...。
中国では、中秋節の行事を行ってきた。
日本に伝わったのは、平安時代である。
西暦909年(醍醐天皇の延喜9年)に初めてその行事を行った。
中国にならって、詩歌管弦の宴を行った。
それぞれの宴には、音楽の生まれる情趣がある


日本列島南から
沖縄県では、親族が集まって15夜を祝った後、女たちが広場で踊る風習がある。
その後何が起こるのかは、実際に行って確かめる必要がある。
鹿児島県では(川辺郡知覧町)、月が昇ると、綱引きをする。子供組みと大人組みが東西に分かれて勝負する。月の御加護を受ける東の子供組みが必ず勝つことになている。その後は、ソラヨイ(それはよろしいの意)という踊りとすもう大会が行われる。
次は、大分県。大分といえば岡城。岡城といえば滝廉太郎。大手門をくぐってすぐに廉太郎(郷土出身の作曲家)の像と「荒城の月」の詩碑がある。
...城下町、竹田は落ち着いた佇まいを今に残している。
さすがに、豊後の小京都といわれるだけはある。
さて、宴の方だが、観月の中で火祭りが行われる。
松明投げ。月を愛でながらカヤの束を振る火振り。三味線、野だてのお茶、花火大会。
小京都、竹田ならではの風情がある。
福岡はどうか。
福岡県太宰府では、天満宮で神幸祭りが行われる。「竹の曲」という古風な芸能が奉納される。
この「竹の曲」は、古来六座と証せられる家々によって伝承されている。
子供が、笛、締め太鼓の奏楽によって舞う。
まるで絵巻物を、想起させられる行列が、あどけなく美しい。
また、宮崎では、八幡宮で放生会が行われる。放生会とは、仏教の不殺生に基づき、生物を池川山林に放ち供養する儀式である。
三大祭の一つで、数十の手提灯(氏子奉納のもの)が境内を飾り、露店が並び、境内は各種の見世物小屋で埋まってしまう。
大変な賑わいである。

日本列島。
北へ遡ってみる。
長野県が面白い。南安曇野郡などでは、子供たちが他家の供え物を盗む習慣がある。盗みに成功すれば吉。盗みを見てみぬ振りをすれば、これもまた吉とされている。
月見の時は、供え物のほかに水を張った器を置き、月を写す。
まさしく、水に映ったムーンライト・セレナーデ...。
隣の人は、何する人ぞ...。
月に触発されて今日も新しい曲ができる...。

高谷秀司(たかたに・ひでし)
1956年、大坂生まれ。音楽家、ギタリスト。幅広いジャンルで活躍。人間国宝・山本邦山師らとのユニット「大吟醸」、ギター・デュオ「G2us」でコンサート、CDリリース。最新作は童謡をテーマにしたCD『ふるさと』。2010年6月から約1ヶ月間、オーストラリアから招かれ楽旅した。
www.takatani.com

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FIVE by FIVE 注目の新譜


NEW1.31 '16

追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄


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