#68. チョン・キョンファ
ヴァイオリニスト
2013年6月11日 サントリーホール



韓国の著名ヴァイオリニストが来日した。リサイタルが15年振りに実現し、満席の聴衆をチョン・キョンファの音楽の世界へと引き込んでいった。この日の彼女の演奏する表情は、かつての硬く厳しい険しさはなかった。温かみに溢れていたが、時折みせる鋭さはあるものの、演奏する楽しさが十分に伝わって来るものだった。
1967年エドガー・レヴェントリック国際コンクールで第1位となる。1970年アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団との共演で劇的なヨーロッパ・デビューを果たす。その後ショルティ、ムーティ、テンシュテット、ハイティンク、マゼール、バレンボイム、アバド等の指揮で世界のオーケストラと共演。
1983年の来日では「世界で一番刺激的に奏くヴァイオリニスト」と新聞で評された。韓国政府より文化勲章を授与、1995年には「アジア・ウィーク」が選んだ「偉大なアジアの20人」に唯一クラシック音楽家として、また英国の「サンデー・タイムズ」の「最近20年間で最も偉大な器楽奏者」に選ばれている。2005年9月のゲルギエフ指揮キーロフ歌劇場管弦楽団の韓国公演を指の故障で降板。以来演奏から遠ざかっていた。休止中のキョンファは母校のジュリアード音楽院の教師を務め、教えることの素晴らしさを体験した。また家族と過ごすことの素晴らしさも分かった。自分は演奏する責務も感じていた。7人兄弟で姉のミョンファはチェロ、弟のミョンフンは指揮者・ピアニストである。チョン・トリオで来日したこともある。音楽家になったのは母の導きだった。2011年母の死を契機に復活を決意。同年末のソウルの復帰リサイタルで心配された技巧の衰えはなく大成功を収めた。スタンディング・オベーションは15分以上続いた。J.S.バッハの無伴奏曲全曲演奏をしたい。録音も計画にあるという。

林 喜代種:東京都日野市在住。80年代初めより現在までクラシック音楽を撮影。一時フォーク・ロック・ジャズ・ 民族音楽も。いま、落語・文楽に興味。(社)日本写真家協会会員

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追悼特集
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#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
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COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
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#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
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