Vol.30
Niseko-Rossy Pi-Pikoe
Classic Tracks 192 - 200


ごっちゃー!NHKおかあさんといっしょのいとうまゆちゃんがブラウン管から消えたのを夏を過ぎるまで気付かなかった・・・夏が終わる、さよならだね。
http://www.youtube.com/watch?v=Yd6dzRqpo5c&feature=related

表紙の画像は「聖ニセコロッシの昇天、使徒マスコ、使徒ハシヅメ、神トラック十五夜の光臨。」16C、カラヴァッジオ・・・の世界・・・クリックすると画像が拡大されます・・・

左、演奏したひと。右、ステレオでかけたひと。まさに、音楽の毒盛られて死ぬんじゃよ、わし。本望じゃよ、わし。

橋爪亮督グループ『アコースティック・フルード』については、福島恵一さんのレビュー「流動化された音響」(http://miminowakuhazushi.dtiblog.com/blog-entry-165.html)を激しく参照されたい。いくつものレビューが立体化した事件とも言うべき批評のちからである。


<track 192>
Structure / Ryosuke Hashizume Group 5/25/2008 live@tokyo,pitinn


You Tube http://www.youtube.com/watch?v=9ATj-7h8FBE&feature=relmfu

ちょっとこれ聴きながら・・・ごっつ素晴らしい演奏じゃ!よう、聴いてみー!

7月22日に行なった現代ジャズの新譜を聴くイベント「第6回益子博之=多田雅範四谷音盤茶会 Yotsuya Tea Party @喫茶茶会記(四谷三丁目)」(通称「タダマス6」)では、橋爪さんをゲストに、何をかけたかというと、CD化されていないヴァージョンの「十五夜ver.20100926」(track 100 http://www.jazztokyo.com/column/tagara/tagara-17.html に記述して大騒ぎしたトラック)と、CD冒頭の浮遊モティアン・メソッド・ナンバー「Current」の2曲。

どちらもグループにとっては特異的な位置にある作品であり、それはまた現代ジャズの兆候的な歓びを示すものでもあった。


<track 193>
The Western Loads III / Fly from 『Year of the Snake』 (ECM 2235) 2012


マーク・ターナーのトリオ「FLY」は、ちょうどブラッド・メルドー・トリオのリズム隊、ベースとタイコ、ラリー・グレナディアとジェフ・バラードをそのままもらってきたトリオなのであるが、メルドーは二人を助さん格さんのように使っておのれのピアニズムの飛翔に重きをかけるのに対し、ターナー「FLY」はその疾走に自覚的なようである。それはFLYがECMレーベルに捕獲された時点で得られた格闘の様相である。トリスターノ的快楽を、速度のヴァリエーションに載せた、というふうにわたしは書いてみる。速度のヴァリエーションは、70年代80年代からECMが「ヨン・クリステンセン/ジャック・ディジョネット」と「ポール・モティアン」に分節して提起してきた潮流のことである。

その速度の感覚は、まー、ロイ・ヘインズが中央線特別快速、エルヴィン・ジョーンズが小田急線ロマンスカー、ジム・ブラックが都営浅草線だとすると、新幹線のぞみみたいな体感の次元差がある。そんなに遅いかジム・ブラック、益子反応。

すごい無理なこと書いてます。

ターナーFLYの3者の演奏では、ターナーが速度にコミットしているふうに聴いていたのだけれど、ECM第2作『Year of the Snake』で、速度をメタなものにしてしまう試みをしていたのだった。ほとんどカチャ、コチャ演ってるふうにしか聴かない耳もアリなんだが、「The Western Lands」と名付けられたインタールード的トラックにその「試み」を聴いてしまったのだ。

そして、タダマス6で、ターナーFLYと橋爪G十五夜を続けて聴いてしまうという、これは聴きたくなってしまう!NYと東京が同期しているふうに、もちろん色彩というか感触はオリジナルなそれぞれなのだが、ドラマとして見えた。彼らの試行はどこに向かっているのか。

タダマス6について福島恵一さんが「ゆらぎの諸作法http://miminowakuhazushi.dtiblog.com/blog-entry-181.html」で「危うさ」を指摘している。都合に合わせて拾い集めているだけではないのか、と。

ターナーと橋爪は、現代ジャズのサックス奏者として突出した存在とわたしは視ており、ジャズ史としてはジョー・ロヴァーノの重要性のバトンを継いだ同じ系統に属している。コニッツのあらゆるレパートリーを瞬時に吹けるターナー、トリスターノ学究バンド平井庸一COOL JAZZで鍛錬した橋爪、である。この二人が、NYと東京にあって、それぞれに進化し続けている途上で、まるで示し合わせたような思考・試行・志向にわたしたちはドキッとしたのであった。

このあたりの理路を当日はうまく、いや、まったく話せなかったので、・・・あった。だめじゃん、おれ。しかし、橋爪本人の横でコレを力説できるわけがないではないかとも思っていた。

「十五夜ver.20100926」をわたしはこの2年間、練馬で表参道で京都で積丹半島で奈良東大寺二月堂で、ことあるごとに100回以上聴いているのであるが、この曲の創造主橋爪さんは一緒に聴きながら「極悪だなー」と笑みを含めたつぶやきをなされたのであった。まさに神のコトバだ。

「Current」については、「一音たりとも入れないような演奏のバランスが成り立っているんです」と創造主は話したのであった。

この2トラック、まさに、限りを尽くしたかのような所業であったのか、聴いていたわたしはわかっていたが、そうか、創造主はわからぬはずはないか・・・、リスナーであるおのれの小ささをこの時ほど感じたことはない。

会場では若い女の子が「たださんの十五夜ラブ、100回は実測ですね、すてきですねー」とエールを送ってくれたのが救いだった!


<track 194>
Stood for thirty minutes, before the picture without moving - The frozen surface of a pool dissolving in aeolian layers / Patrick Farmer from 『Like falling out of trees into collectors' albums』 (Consumer Waste 04) 2011


このレーベルにアクセスするhttp://consumerwaste.org.uk/と、とたんに天上的なサウンドが溢れはじめてくるぞ!

福島恵一さんが「ディスク・レビュー 2011年10月〜12月(第二部)」(http://miminowakuhazushi.dtiblog.com/blog-date-20120218.html)で、「その素晴らしさを言葉にする術をうまく探り当てることができず、結局採りあげるのを断念した」と記し、

さらに「現在進行形のジャズを巡って」(http://miminowakuhazushi.dtiblog.com/blog-entry-172.html)で、「私の耳のとらえた「現在進行形」の音盤からの5枚」としてジャケだけがクレジット無しで掲載された、

のが、この作品だ。パトリック・ファーマー。ど、ど、どんなのだ?と、両隣の席の耳兄弟、月光茶房の原田正夫兄さんと現代ジャズ益子博之兄さんにきいたら、すでに入手しているという・・・世界限定100枚のブツなのに・・・。

ちなみに「現在進行形」の5枚と掲げられたジャケは、ジル・オーブリーのカイロと、ルシオ・カペーセのゼロプラスゼロ、と、これ、と、ミシェル・ドネダの2枚である。

オーブリーにもカペーセにも、初めて聴いて「これはどういうサウンドなのだろう?」と耳の触手が空間をさまようのと同時に、そのサウンドがダイレクトに快楽でもある、という事態に遭遇した。イヤホンで聴いたあと、生活空間の音響が異様にデフォルメされた襲撃に感じられた。それは生活空間を普段わたしたちはすでに必要なものと不要なものを選別して聴取して生きていることを実感させることでもあった。

カペーセについては北里義之さんがレビューしている。>http://news-ombaroque.blogspot.jp/2012/04/lucio-capecezero-plus-zero.html

さて、パトリック・ファーマー。薄氷が溶けてゆく微細なサウンド、遠く上空を飛行機が通り過ぎる響き、なんて記述しても、ここで起こっていることにちっとも届かないでいる・・・。気配を察知するための耳の構えがずっと作動し続ける。

「Patrick Farmer盤の探求その1」(http://www.enpitu.ne.jp/usr/bin/day?id=7590&pg=20120805


<track 195>
Ocean Song / Jon Anderson from 『Olias of Sunhillow』 (Atlantic) 1976


パトリック・ファーマー盤を聴いていると、27:37、14:34、17:17の3トラック編成で、A面1曲B面2曲、というと、即座にイエスの『危機』を想ってしまう引き出しの狭いわたしなのです・・・。それで、思えば中学3年のとき聴いた『危機』のイントロこそがマイファースト field recordings だったかー!と思いついたりする(それ以前にビートルズ踏破してたからちがうんだろうけど)。

FaceBookはじめて、20数年ぶりに昔「フラジャイル」というミニコミに電話をして出会った編集カセット交換の同志・編集長Kと再会できたりする。ロッキングオンのミニコミ告知欄だったな。青白い鋭い眼光のスレンダーなパンク少年は、酒焼けした極道大親分になっていた、おおこわ。

FaceBookのおかげで、世界史の教科書がザッピングされて偏在する東京という景色になる。スマホ1台で、生まれた場所のグーグル画像や思い出の場所の現在の空模様まで持ち運ぶことができる。スマホ1台で、現在は他愛のない一風景になり、貧乏なくせに現状肯定の多幸感に覆われるのだ。ダイモンダイだ。

「フラジャイル」と名付けたとおりイエス好きな我々は、ジョンのベスト・トラックを考えてみるんだが、「Outside of This (inside of That)」「Animation」「Italian Song」と編集CDR常連ナンバーを言ううちに、ジョンの最初のソロ『サンヒローのオリアス』をすっかり忘れていたことに気付く。何年経ってもプログレの名盤には選ばれない、選ぶミーハーは白い眼で見られる人気盤だ。すぐにCD化を確認してアマゾンした。おおおー、まさに、ロマンチックなファンタジー・プログレのシンセ音と自然音のドラマだ。古くて懐かしい!いや、なかなか聴き応えがあるぞ。懐メロ演歌オヤジと同値でもあるか。老いてゆくジョン・アンダーソンを聴くのは辛いが、このファンタジーの飛翔は若々しく赤裸々でさえある。

でもなー、このCDは音質が悪い、ダイモンダイだ。

真のプログレは、現代ジャズは、ロックは、ラップは、現代音楽は、やはり新しくて耳がドキドキするものである。変わり続ける同じもの、だ。古典に留まって壊死してはならんぞな。


<track 196>
Ambient Pressure Thereby / Henry Threadgill from 『Tomorrow Sunny / The Revelry, Spp』 (Pi Recordings) 2012


You Tube http://www.youtube.com/watch?v=NgGj-UcCBns

明日は晴れだわ、お祭り騒ぎ、Sppって何だ?どおゆう意味だ?

来た、現代ジャズ2012世界ランキング2位、AACM最後の皇帝、覇王ヘンリー・スレッギル、耳が離せません。YouTubeでぐぐると、スレッギルの音源をバックにスレッギルの凄さを演説している黒人ハゲおやじ推定51さい(http://www.youtube.com/watch?v=57bQ2Eku_9o&feature=related)に遭遇して、まさにおのれを見る思いで力説するのにめげてくるが、いいものはいい、この演奏力、かっちりと編み巡らせられた鋼鉄の有刺鉄線の隙間を淀みなくすり抜けるソノリティのモーメント的獰猛。

おおー、見事な記述だ。

現代ジャズ2012、菊地雅章『サンライズ』は、虎の穴ECMレーベルのミスターX、マンフレート・アイヒャーの耳さえもヴァージョンアップさせたに違いなく、もちろん、わたしの耳もまだ菊地雅章TPTトリオの衝撃に揺れたままであり、亡きモティアンの耳を継いだベーシスト、トーマス・モーガン現代ジャズ世界ランキング1位を決定付けたもの、おれはこれで時代がチェンジしたと考える。

集中、速度、の、優位。

このレベルの演奏ができるのは、スレッギル、ソーレイ、あとはクリススピード、フォーマネク、クリーヴァーとのヤコブ・アンデルシュコフ(あの不可知論者の黙示録盤だ)くらいしか思い浮かばない。

さて、ヘンリー・スレッギルを70年代から「こいつこそホンモノ」と目を光らせていたジャズ評論家が二人いる。清水俊彦と悠雅彦だ。悠は自ら「WhyNotレーベル」を興して、若きスレッギルのバンド「エアー」をリリースし続けた。まさにNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」で取り扱われるべきジャズ評論家である。悠は、70年代にこのエアーの来日を実現しようとした。しかし、演奏家の組合であるAACMの高額なギャラに応じることができずに断念している。80年代を通じてスレッギルのLP、CDをキチンと輸入し続けていたのは立川のディスクインにいた村上寛、現在ライブハウス国立「NO TRUNKS」で現在ジャズを鳴らす。90年代末にスレッギルのCD国内盤化を果たしたのは沼田順、現在ダウトミュージックを主宰、この国内盤化ライセンス料にまたも法外なAACMに説得を試みたのはこのJazzTokyo編集長稲岡さんである。

おお、内輪褒めみたいでなかなか見苦しいものだが、レッキとした真実である。

しかし、スレッギルをずっと聴いてきてジャズ者としてもECM者としてもインプロ者としてもオザケン者としてもわたしは孤独であった。いや、孤独でよいのだ。いや孤独でなければならないのだ。でも、ガールフレンドはやっぱりほしいのだ。孤独であったから、出会える同志もかならず居た。

月光茶房店主原田さんも、スレッギルとの遭遇はエアーのLP『80 Below '82(シカゴ・ブレイクダウン'82)』1982だったとこないだ知った。ごおお。

吉祥寺のすぐになくなったビルの2階のジャズ喫茶だった。エアーのこれと、オーネット・コールマン『オフ・ヒューマン・フィーリングス』が並んで飾られていたのだった。どちらもアンティルズ・レーベルの新譜で、ジャケがジャズ然としていなくて現代アートしていたのもカッコよかった。当時はパンク全盛期で、70年代ロフト・ジャズ・シーンは過去のものに感じられている中にあって、どちらもポストモダンな響きをさせる空気の新しさ、エッジの立ち方をしていた。あ、まだポストモダンなんて言葉は知らなかったな・・・あれ、今聴くとフツーだなあ。

Air - Chicago Breakdown
http://www.youtube.com/watch?v=WsMXgBGdseY

このフツーという実感が、現代ジャズ30年の前進だったのかもしれない。

Chicago Breakdown - Louis Armstrong
http://www.youtube.com/watch?v=kvXyzoMBk5A


もしもあの日クロスオーバーイレブンでパットメセニーの9月15日に会えなければ、このわたしはどんなオヤジになっていたでしょう、悪い遊びおぼえて前科もんと他人に呼ばれて泣いたでしょう、今も思い出すたび胸が痛む、ううん、もうあなたのそばを離れないわー、麻丘めぐみ、今でも大丈夫だ、なにがだ、というわけで、前回書いたクロスオーバーイレブンのテーマ曲について、じゃぽ音っとブログにも記事があったのでリンクします。先を越されてたかー。

「クロスオバーイレブンとYutakaの音楽」http://d.hatena.ne.jp/japojp/20111102/1320163389


<track 197>
Too Many People / Paul & Linda McCartney from 『Ram』 1971


今月のヘビロテ盤。リマスター再発されて、レココレでも特集記事、買った。

この1曲目のサウンドの空間性の広がり感は、空からエグベルトジスモンチが降ってくるようなものだ。意味わかんねーよ、おれも。買ってもらったばかりのステレオでかけて、空中に投げ出されたような気持ちになっていたんだ。

歌詞カードには無い冒頭の「リタ」という発音は、サージェント・ペパーズのラヴリー・リタのリタなんだと勝手に思っていたものだ。ただのヒアリング間違いなのか。

空間を聴くというという視点をここで獲得していたことが、ECMサウンドのリバーブへの適応を用意していたとも思えてきた。

ポールのソロで編集CDRを作成する。今日はこういうふうに聴きたい。モンクベリー・ムーン・デライト!

01. Monkberry Moon Delight
02. Magneto and Titanium Man
03. Front Parlour
04. Tag Of War
05. With A Little Luck
06. Goodnight Tonight (Long version)
07. Big Barn Bed
08. Junk
09. Fine Line
10. Deliver Your Children
11. Coming Up
12. Band On The Run
13. Too Many People
14. Let'em In


<track 198>
The Un / The Roots from 『Undun』 2011


JazzTokyoでも数々の名言を記すWIRED誌編集長若林恵さんが、わがミュージサーカス(musicircus)の年間ベスト寄稿で挙げた一枚。「虚無とも呼べそうな静謐な広がり」「本人たちにもよくわかってないかもしれない」「言いようのない魔法がかかった」

The Roots って知らなかったけど、有名なヒップホップのひとらしい。NasとDr.DreとSnoop Doggしかヒップホップは耳に止まってなかったし。The Black Eyed Peasは、おねえちゃんによく聴かせてもらって特別です。

さて、ヒップホップとは思えないところの空間的で field recording 的なアンテナに横溢したサウンドなのだ。現代ジャズともビョークともECMとも地続きな、畑は違えど同じ水が流れている、そういう盤だった。レインボーブリッジの風景が変わった。

結局、どのジャンルでも、耳の空間把握や、細部の音処理・音表現に対する耳の解像度が21世紀になっているということなのだ。あちこちのジャンルから、同じ地平線に飛び出してきている表現者たち。わたしたちリスナーもジャンルの風呂に浸かっていたらわからないのだ、手ぬぐいがなくても前をかくさずに歩み出さなければならないのだ。


<track 199>
I’ll Notice / Becca Stevens Band from 『Weightless』 (Sunnyside Records) 2011


同じ若林恵セレクトにあった盤を、この6月にニューヨークへ定点観測に行ってきた益子博之から、「いやー、ライブがすごかった!ので、たださんにおみやげCDですー!」といただいたのだった(あ、上記スレッギル盤も益子さんにおみやげでもらったCDだ、わはは)。そんで、タダマス6でも、ジャズ外として選曲にもなった。

ブラッド・メルドーやエリック・ハーランドともコラボレートする才媛、サニーサイドから歌もののリリース、サイドメンのクリストファー・トルディーニ(ベース)は気がつくとあちこちの10年代現代ジャズ盤に名を連ねている注目株、で、ジャズ、フォーク、カントリー?・・・何か、この歌いようの、演奏たちの佇まいは、次第に幹線道路から首都高、東名高速に乗り進むような、コンポジションの飛ぶちからがある。

これは売れるぞー。


<track 200>
progress / kokua (BMG JAPAN) 2006


NHK「プロフェッショナル仕事の流儀」はいい番組だよなー。大人の道徳の時間。保安院のみなさんも「情報は極力小出しにするのが仕事の流儀」とか心でつぶやきながら仕事してんのかな。

この曲聴きたくてスガシカオを図書館やツタヤで捜しても出てこないので、嘆いてたら友だちが貸してくれた。CDシングルでしか聴けないのねー。ブックオフでKの棚を捜すしかない。

「ねえ、ぼくらが夢見たのって、誰かと同じ色の未来じゃない」

批評家も評論家も音楽ライターも名乗れないおれ。CD買えない日々多し。コンサートを招待いただいても交通費が捻出できない。音楽雑誌に夢を抱いた初夏もあった。ロヴァサキソフォンカルテットのライブに行けないのに腹たてて「ロヴァの耳」とコラムを名付けた夕暮れもあった。大友良英に書いてることの意味がわかんねーと抗議された。あがた森魚に「いい質問だね!」と笑顔をもらった午後もあった。小谷美紗子のインタビューに遅刻していって「大好きです」と告げてうつむく編集員だったり、ケイコリーの取材を寝過ごしてふいにしたり、関越自動車道をうなる救急車を追い越してエヴァンパーカーに会いに行ったり、林栄一のライブを追っかけた。ブレイク寸前のクレイジーケンバンドの葉山ビーチや長者町フライデイ。

音楽は名詞だ。そして、人じゃない。

ギター・リフ。・・・編集CDR作成人、多田は音楽を選択しない、図書館の返却されたてのCDを選ばず5枚借りている、聴かせてもらえるものをすべて聴く、中古盤屋にはまず入る、たまごと納豆代を残して買わなければならないCD、おれに買われるためにそこにあると主張しているCDを買う、良さがわからないCDをむきになって聴く、好きになったトラックは吐くまで繰り返し聴く、どんなトラックの前後に相応しいかポールマッカートニーになった気持ちで何時間も考える、そこに妥協はない。

「世界中にあふれているため息と君と僕の甘酸っぱい挫折に捧ぐ。あと一歩だけ前に進もう」



Niseko-Rossy Pi-Pikoe:1961年、北海道の炭鉱の町に生まれる。東京学芸大学数学科卒。元ECMファンクラブ会長。音楽誌『Out There』の編集に携わる。音楽サイトmusicircusを堀内宏公と主宰。音楽日記Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review。

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FIVE by FIVE 注目の新譜


NEW1.31 '16

追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄


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