Vol.40
再生



しばらく、お休みをしていました。

久しぶりが気恥ずかしい感があります。
海外滞在が長く、段々日本語を、忘れています.....
お許しください。

昨年は、ミャンマー、カナダ・バンクーバー、中東・ヨルダン、イスラエル、パレスチナ....

それぞれの国から特命を受けて、演奏させていただきました。
このことに本当に感謝しております。
それは私のできる使命だと思っています。ここにある命を使って生きていく。
感謝の想いを共有できる音楽の使命は素晴らしい。

それぞれの国には素晴らしい自然があります。
以前に、ミャンマーに行った時も、自然の素晴らしさに触発されて曲ができました。
カナダの見事な自然を見た時には、本当に地球にこういう美しい自然、そして空間がある事、そして、そんなところに一緒に居られ、今、この、同時代に生きられるんだな、と感じられるだけでも、感謝の気持ちでいっぱいになります。
自然との出会いを、感謝の気持ちで、曲として表現できるのは、芸術家の醍醐味です。

そういう流れの中で、今の『日本の四季』という曲が、できた。
春秋戦国時代....なぜ、春と秋が争うのか。
農耕民族と狩猟民族との争い。春先には、狩猟民族に、食べるものがある。そして、秋には農耕民族に食べるものがある。
それぞれに食べるものがある時と、ないときがある。
それぞれに、食べるものが「ある時」と「ない時」とがある。
食べ物がないときに、そのない方が、食べ物のある方のところに、それを奪いに行く。
その結果、それが争いのもとになる。
人間の争いの原点の構造です。
すべての争いは、これを起点に始まっている。
このことを、イコールにしていく。

『The Season of Equality』

ここに、平和のメッセージがあります。
また、日本の自然から感じた、春と秋、夏と冬。
曲の中に自然に取り入れていく。常に自然と共に生きていることで、音楽を奏でさせていただいている。
自然と共生をさせて戴いている。
そのプロセスが、結果として製錬されていくことでもあり、音楽の表現者としての在り方ではないかと考えます。

『西洋のギターと日本の琴の共通点』
弦楽器は、元々は、植物のツル。
植物のツルを弾いていたのが、始まりだったのではないか。
それは、他人に何かを知らせるための行為だったのか....あるいは、その植物ツルを伸ばして、何かを飛ばすことだったり....
あるいは、もっと大きな音にするためには、ツルのそばに、箱をつけるとか....さらには、ツルの音をもっと正確にするためには、それに糸巻きをつけるだとか....
また、その弦をどうやって弾くか、ということで、手で弾く、バチで弾く、ピックで弾く....というようにこの4つの要素の組み合わせで、発達してきたと思う。

そうしたことが、いろんな民族で、同じようにあって、それぞれの楽器が出来上がったのです。
各々の民族の文化、文明、習俗などによって変遷を辿る。
たとえば、ウードのような楽器が、ギターのような楽器に発展してきた。
そもそもの原点は、植物のツルだったことに変りはない。

あのシルクロードを行ったり来たりして、それぞれの民族の文化や文明が、出会い、別れそしてある時は融合を図り、その象徴として楽器が形を変えてきた。
自然の変化にももまれ、地域の環境と共に生きることによって、楽器の完成度は高まっていった。
現代のクラシックギターは、究極の形。
素材も、場所場所によって、さまざまな在りようがある。
ギターなら、メープル、マホガニー、スプルース等々。
その国ならではの『木』ということもある。

日本の楽器には、とくに、『ゆらぎ』がある。
これも、日本の自然と共生して生きたということと深い関係がある。

ジャンルを超えてなんて、当たり前のこと。
むしろ、元々ジャンルなんてない。

キーワードは【ヒューマンビーング】、

オーストラリアであっても、アメリカであっても、ミャンマーであっても、カナダであっても、中東であっても。
一番大事なことは、「人間とは何か」ということであり、それらは民族や風習   あるいは、文化や文明の違いを超えたところに、つまり、それを統合したところに本当の人間性というものが見えてくるのだと思う。
ただ単に、和が大事とか、日本の伝統が大切とかではなく、地球全体の中で、人類が生きているということ。自然と共生しながら、みんなが生きているということ、そういう感謝の心を大切にしたいのです。

すべてに感謝しながら、国や民族を超えた、「人間そのもの」【ヒューマンビーング】をキーワードに世界中で音楽を表現していきたい。

@ミャンマー 2013.3.19 @バンクーバー 2013.4.30 @バンクーバー 2013.501

高谷秀司(たかたに・ひでし)
1956年、大坂生まれ。音楽家、ギタリスト。幅広いジャンルで活躍。人間国宝・山本邦山師らとのユニット「大吟醸」、ギター・デュオ「G2us」でコンサート、CDリリース。最新作は童謡をテーマにしたCD『ふるさと』。2010年6月から約1ヶ月間、オーストラリアから招かれ楽旅した。
www.takatani.com

JAZZ TOKYO
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FIVE by FIVE 注目の新譜


NEW1.31 '16

追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄


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