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ジャズという音楽ジャンルが、クラシカルとなり、形骸化してもう久しくなる。ぼくがジャズの死を直視したのは、ジョン・コルトレーン(1967年7月17日)、それからマイルス・デイヴィス(1991年9月28日)。しかし、ジャズは、ポスト“死”、ポスト・ポスト“死”を強靭に乗り超えてきた。しかし、しかしである。このインプロヴァイズド・ミュージックの閉塞感は、一体何なのだろう?
今さらスピリチュアルでもないし__。やっぱり、スタンダードでしょ、バラードでしょ、でもないしね。いくら、柳の下のどじょうを探してみても、コルトレーンの『バラード』(Impulse)、アーチー・シェップの『いそしぎ』(MPS)は、甦らない。いうまでもなく後者は、ドナウエッシンゲンのライヴ盤のこと。
さて、<伽藍>の山内勝司とは、地元(東横線・妙蓮寺)のバーで、しばしば杯をかわし、意気投合。もともと、大手映画会社に就職したのだけれども、アホくさくて、ミュージシャンとして生きることに。当年46歳。
相棒の井上史朗は36歳。両者とも、ギンギンのパンク・バンドで、唄ものギターで別々に活動。ふたりとも、<村八分>にインスパイアされ、<テレビゼヨン>を志す。そのすさまじいピークは、20代から30代にかけて。サステイン無しで、ファズを使う。
山内と井上の出会いは、2000年。<伽藍>のスタートは、2001年である。
たまさか、楽器をギターから、ベースに持ち替えることとなる。最初は、エレクトリック・バイオリン。そして、ベースに落ち着く。エフェクターがおびただしく導入され、その結線は、独特のものがある。
「実は、ぼくにも一時、弦楽器にのめり込んだ時期があった。24、5年前かしら。LPがどんどんCDになっちゃって。ジャズのCDなんて買う気がしなくって。クラシカルにすっかりのめり込んでしまった。なかでも、ジャズでは入り込めない、弦楽器の聖域には息を殺さずにはいられなかったのね(笑)。なかでも、ギドン・クレメルのバイオリンはヤバイ。脳天をかち割られた衝撃」(杉田)
山内「ギドン・クレメルは、超凄い。本当にヤバイです。実をいうと、ぼくは、ジャズのインプロからこの世界に入ったんです。共有できる風景を求めましてね」
おっと、ヤバイ。いま再び、森山大道〜中平卓馬の70年代風景論が出発点だったとはね。いまさらながら、「たまさか」なんて偶然性なんてないんだ。すべては必然なのだ。
「パンクのあとにアルコに落ち着いた。て、ことだと思うんだけど、アンビエントの発想は、あったの?」
「いえ、アンビエントの発想は、全くありません。頭の中に『風景』が流れ、弓の魔力によって『風景』を共有する。<伽藍>は、『映像』への喚起なのです。『耳鳴り』を消すのに、すべてをやめる。長い音だけで交感する」
そこで、サトウアキラのリキッド・ライト(ライト・ショウ)が浮上してくる。初めて<伽藍>とサトウアキラをBitches Brew for hipsters onlyに招聘したのは、2011年夏である。<伽藍>って、まるでアート・アンサンブル・オブ・シカゴの『悲しみの人々』(Odeon)と同じ地平を切り拓こうとしているではないか !! キーワードは、通奏低音である。あのポスト・ベトナムを予見したやさしさ世代の“いま”が、ここBitches Brewにある。
サトウアキラがリキッド・ライト・シーンで突出することになったのは、阿部薫(as)の死をきっかけに、『地下演劇』(グロオバル社)の芥正彦と出会い、共演するようになってからである。
古い幻燈機がサトウアキラの楽器である。2枚の透明なガラス板に、絵の具をたらす。幻燈機にセットすると、絵の具は沸騰し、宇宙の死に向かって創造と破壊を繰り広げていく。ガラスで傷付き、サトウアキラの指は鮮血で染まり、絵の具と混ざり合う。まぎれもなく、サトウアキラによる映像の喚起の方法ではある。
ライト・ショウは、1960年代末にピークを迎える。69年のニューポート・ジャズ祭ではサン・ラ&ソーラー・アーケストラ、ローランド・カーク、ブラッド・スエット&ティアーズらがライト・ショウをステージいっぱいに展開。
「どうして<伽藍>って名付けたわけ?」
「まず、日本語を使いたかったこと。擬音ですね」
「佐藤允彦(p)の、<がらん堂>ってユニット知ってる?」
「いえ、知りません。ぼくたちが目指しているのは、さわやかな空虚、さわやかな天空です」
<伽藍>は、いまのこの時代のメロウである。アンビエント〜ドローンの極北である。少なくとも、ここは、ジャズの形骸化、閉塞感とは全く無縁である。ぼくはいま、<伽藍>に夢中。ジャズは死んだか?

向かって右が山内勝司、左が井上史朗@Bitches Brew
パーカーが死んだとき(1955年3月12日)パリ・カルチェラタンの落書きには、“Bird Lives!”としるされた。いま、どのジャズ・クラブを訪れても“Jazz Lives!”なんて落書きは発見できない。
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杉田誠一:
1945年4月、新潟県新発田市生まれ。
1965年5月、月刊『ジャズ』、
1999年11月、『Out there』をそれぞれ創刊。
2006年12月、横浜市白楽に
cafe bar Bitches Brew for hipsters onlyを開く。
http://hakuraku-bb.tumblr.com/
著書に『ジャズ幻視行』『ジャズ&ジャズ』
『ぼくのジャズ感情旅行』。
http://www.facebook.com/Hakuraku.BB
及川公生のちょっといい音空間見つけた >>
♪ Live Information
open 7:00pm/show 8:00pm
| 4/4 | Wed | 永井隆生(p) 小田部宏(b) 黒崎 隆(ds) |
| 4/5 | Thu | 永井隆生(p) 内山健一(b) 黒崎 隆(ds) |
| 4/6 | Fri | 纐纈雅代(as) 他 |
| 4/7 | Sat | 松戸士朗(ss) 他 |
| 4/11 | Wed | 坂田 明(as,cl,a-cl) 黒田京子(p) 水谷浩章(b) |
| 4/12 | Thu | 坂田 明(as,cl,a-cl) 坂田 学(ds) |
| 4/13 | Fri | 大由鬼山(尺八)他 |
| 4/14 | Sat | 林 栄一(as) 石田幹雄(p) |
| 4/15 | Sun | 佐藤道子(ce) 他 |
| 4/16 | Mon | “モチ・ラボ”望月 孝(g) 他 |
| 4/18 | Wed | 坂田 明(as,cl,a-cl) ソロ |
| 4/19 | Thu | 坂田 明(as,cl,a-cl) 佐藤えりか(b) |
| 4/20 | Fri | “晋”企画 五十嵐 晋(as) 他 |
| 4/21 | Sat | “晋”企画 五十嵐 晋(as) 他 |
| 4/22 | Sun | “マッキントッシュで聴く<ブライアン・イーノ>” |
| 4/23 | Mon | 坂田 明(as,cl,a-cl) 高良久美子(vib) |
| 4/24 | Tue | 坂田 明(as,cl,a-cl) 吉田隆一(b) |
| 4/25 | Wed | 坂田 明(as,cl,a-cl) 高岡大祐(tuba) |
| 4/26 | Thu | 永井隆生(p) 小田部宏(b) 黒崎 隆(ds) |
| 4/27 | Fri | BULL松原(vo) 橋本啓一(p) |
| 4/28 | Sat | 大由鬼山(尺八)竹内 直(as) |
| 4/29 | Sun | JIBO(vo) 山見慶子(p) |
| 4/30 | Mon | “Dedicated to金井英人”(5月6日まで) 田村 博(p) 高木潤一(g) JUNマシオ(ds) JUNマシオ(MC,vo,笛,ds) 他 |
| 5/1 | Tue | 中牟礼貞則(g) 他 |
| 5/2 | Wed | 大由鬼山(尺八)他 |
| 5/3 | Thu | 加藤崇之(g)他 |
| 5/4 | Fri | 福田美鈴(ポエトリー・リーディング) 尾山修一(ts) ケミー西丘(p) JUNマシオ(ds) |
| 5/5 | Sat | 遠藤光夫(g) 他 |
| 5/6 | Sun | しかたかし(as) 佐藤浩二(g) 原 洋一(p) |
| 5/11 | Fri | 纐纈雅代(as) 他 |
| 5/12 | Sat | TOMO(hurday gurday) サトウアキラ(liquid light) |
| 5/13 | Sun | “モチ・ロボ”望月 孝(g) 他 |
| 5/18 | Fri | “風神雷神”大由鬼山(尺八)藤川 清(jambe) |
| 5/19 | Sat | “晋”企画 五十嵐 晋(as) 他 |
| 5/20 | Sun | 佐藤道子(cs) 他 |
| 5/25 | Fri | BULL松原(vo) 橋本啓一(p) |
| 5/27 | Sun | “マッキントッシュで聴く<ブライアン・イーノ>” |
| 5/28 | Mon | JIBO(vo) 山見慶子(p) |
予告!
6月11日(月)〜17日(日)“林 栄一 7Days”
問)Btches Brew 090-8343-5621(杉田)
http://hakuraku-bb.tumblr.com/
http://www.facebook.com/Hakuraku.BB
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
:
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
:
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
:
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義
:
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄
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