『須川展也+小柳美奈子/サキソ・マジック』
text by Kimio OIKAWA

イマジン/ラッツパック IMGN-3002 2,500円(税込)


須川展也(sax)
小柳美奈子(p)

1.日本民謡による狂詩曲
2.「すべてを知っている場所」からの便り−ガーシュウィン・メロディーズ−
3.It’s an Unforgettable moon!(アンフォゲッタブル〜イッツ・オンリー・ア・ペーパー・ムーン)
4.L’aphorisme
5.メリー・ポピンズ・サキソマジック〜チムチムチェリー&スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス
6.チャルダッシュ (ボーナストラック)
7.G線上のアリア (ボーナストラック)

録音:2012.5.21-23 @稲城市立Iプラザホール
Produced by Nobuya Sugawa
Director/Recording & Mastering Engineer : Shun-ichi Kogai

演奏者の超絶技巧と多彩な音色の変化を見事に捉えた優秀録音

演奏者の超絶技巧と多彩な音色の変化を見事に捉えた優秀録音である。
日頃、ジャズの音に接していると、サックスの音に勘違いを起こす。ナマでクラシックを聴く度に、そう思う。サックスのソロに鳥肌がたつ。芳醇な音質で空間に放たれるふっくらとした音。ジャズの歪み感強調のダイレクトな音質とは真逆の世界。深く反省をする私がいるのだ。
<アンフォゲッタブル〜イッツ・オンリー・ア・ペーパー・ムーン>を聴く。ジャズをイメージしていたら、あれっ!てな事になるのだ。此処で聞かれるのは、あくまでもクラッシックの響き。
Saxの空間に充満した艶っぽい響きに、ナマ体験のホールの残響を思い出す。
ホール空間の残響を十分に取り入れて、サックスの芯の太い音像が明瞭に描かれていて、ジャズの点描写とは違う。新鮮だ。クラシック・ファンなら、当たり前であり、別世界の話ではない。透明感が支配して、残響が装飾を担っている。
ピアノの低音域に潜む唸り。マニアックだが、これは、と、耳をそばだてる。ピアノに重量感を感じさせる録音のテクニックがちらりと表に出て来て、明瞭さの中に重い存在感を聞かせる。 
ホールならではの残響が遠近感を自然体で作り出し、ピアノの音像とサックスの音像とに立体感を感じ、心地いい空間表現だ。

及川公生:1936年、福岡県生まれ。FM東海(現・FM東京)を経てフリーの録音エンジニアに。ジャスをクラシックのDirect-to-2track録音を中心に、キース・ジャレットや菊地雅章、富樫雅彦、日野皓正、山下和仁などを手がける。2003年度日本音響家協会賞を受賞。現在、音響芸術専門学校講師。著書にCD-ROMブック「及川公生のサウンド・レシピ」(ユニコム)。

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FIVE by FIVE 注目の新譜


NEW1.31 '16

追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley

FIVE by FIVE
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣


COLUMN
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi

#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報 シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻


音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美

カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子

及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)

オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美

ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)

INTERVIEW
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義

CONCERT/LIVE REPORT
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
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#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄


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