COLUMN#156 OIKAWA:JAZZTOKYO

『Maria Schneider Orchestra／Days of Wine and Roses - Live at Jazz Standard (2000)』
text by Kimio OIKAWA

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Maria Schneider Orchestra:
Maria Schneider(Conductor)
Tim Ries, Charles Pillow(as,ss,cl,fl)
Rich Perry, Rick Margitza(ts,fl)
Scott Robinson(bs,bass-s,cl,b-cl,fl)
Tony Kadleck, Greg Gisbert, Laurie Frink, Ingrid Jensen (tp, flgh)
Keith O'Quinn, Rock Ciccarone, Larry Farrell(tb)
George Flynn(b-tb)
Ben Monder(g)
Frank Kimbrough(p)
Tony Scherr(b)
Tim Horner(ds)

1.Lately
2.The Willow
3.That Old Black Magic
4.My Ideal
5.Last Season
6.Comecar de Novo
7.Days of Wine and Roses
8.Over the Rainbow
9.Bird Count

Recorded live to Digital Two-track by David Baker, assisted by Katsuhiko Naito, January 2000
Produced by Maria Schneider and David Baker

ビッグバンドの音像をスピーカー間に溢れる様に表現する

ダイレクト２チャンネル・ミックス録りのダイナミックな表現が生き生きと再現されて、現在の録音手法に問いかけをしているCDだ。
さらに特筆すべきはデイヴィッド・ベイカーの録音手法が、強烈に反映されて、聞くモノにインパクトを与える。
透明な音質よりジャズの表現力に寄与する楽器の芯を捉えた重厚さ。これが、全てを支配する。ビッグバンドの爽快さを一気に高めてくれる図々しいくらいの音像の出っ張り。快感だ。
ライブ空間の響きそのままで、リバーブ処理等一切なし。それが、ビッグバンドの音像をスピーカー間に溢れる様に表現する。バリトン・サックスのゴリゴリした音質。ピアノの硬質な響きと明確な音像の立ち上がり。管楽器群のオン・マイクが捉えた芯に力が感じられる濃厚な音。
「マルチ・チャンネル録音とトラックダウンで繊細なバランスを整える手法は、ジャズに限っては、聞き手の興奮を誘導する事に貢献しない」を痛感する。
ベイカーさんの口癖のお説教が身に染みる。

MARIA SCHNEIDER ORCHESTRA LIVE AT JAZZ STANDARD
DAYS OF WINE ANDO ROSES

及川公生：1936年、福岡県生まれ。FM東海（現・FM東京）を経てフリーの録音エンジニアに。ジャスをクラシックのDirect-to-2track録音を中心に、キース・ジャレットや菊地雅章、富樫雅彦、日野皓正、山下和仁などを手がける。2003年度日本音響家協会賞を受賞。現在、音響芸術専門学校講師。著書にCD-ROMブック「及川公生のサウンド・レシピ」（ユニコム）。