COLUMN:JAZZTOKYO

『チック・コリア・トリオ／トリロジー』
ユニバーサル・ミュージック
UCCJ-3031 4500円（SHM-CD）

チック・コリア(p)
クリスチャン・マクブライド(b)
ブライアン・ブレイド(ds)
ゲスト：
ホルへ・パルド(fl) on Disc 1 Track 5, 7
ニーニョ・ホセレ(g) on Disc 1 Track 5, 7
ゲイル・モラン・コリア(vo) on Disc 3 Track 3

録音場所：
2010年10月9日ワシントンD.C. (Disc 3-2)
10月12日オークランド (Disc 1-1, Disc 2-1, Disc 3-1)
12月8日札幌 (Disc 3-3)
2012年11月20日オーストリア、ザンクト・ペルテン (Disc 2-2, 7)
11月21日スロベニア、マリボル (Disc 2-5)
11月23日スイス、チューリッヒ (Disc 2-3, 4)
11月27日トルコ、イスタンブール (Disc 2-6)
11月28日トルコ、アンタルヤ (Disc 1-3)
12月1日スペイン、カルタヘナ (Disc 1-2)
12月2日スペイン、マドリッド (Disc 1-4, 5, 6, 7)

Disc 1：
1. ユーアー・マイ・エヴリシング
2. リコーダ・ミー
3. ザ・ソング・イズ・ユー
4. ワーク
5. マイ・フーリッシュ・ハート
6. フィンガープリンツ

Disc 2：
1. ジス・イズ・ニュー
2. 不思議の国のアリス
3. イット・クッド・ハプン・トゥ・ユー
4. ブルー・モンク
5. アルマンドのルンバ
6. 24の前奏曲作品11 第9番

Disc 3：
1. オマージュ
2. ピアノ・ソナタ:月
3. いつか王子様が

驚くべき１０箇所に及ぶライブ録音のサウンドの統一感

各地のライブ収録を集めたCD３枚組。ライブならではの空間の雰囲気が、音の豊かさを保ち、濃厚な音像の展開が素晴らしい。驚くのは、１０箇所に及ぶライブ録音でありながら、ピアノ・ベース・ドラムスのサウンドに統一感があることだ。あたり前と言えばそうだが、ライブ空間の響きの変化に気配を感じながらも、音色の統一感は感激ものであり、３枚を通して違和感をまったく感じない。
ピアノのリバーブに会場の雰囲気に合わせた工夫が見られ、音色に少しの違いが感じられるが、透明感で統一された音色と、アタックの切れ味を狙った録音に感動だ。
ベースの重みを感じる表現に唸ってしまう。ライブの条件の違いにかかわらず、音像はどれも一定の姿だ。どっしり安定感を伴って、サウンド全体の底辺を担っている。各楽器のクリアーなサウンドの重心を担うベースが安定すると、気持ちがいい。
ドラムスの明確なエッジに、爽快感を味わう。
札幌会場録音では、ボーカルの超絶オンマイクのリアルな音像に感動。

及川公生：1936年、福岡県生まれ。FM東海（現・FM東京）を経てフリーの録音エンジニアに。ジャスをクラシックのDirect-to-2track録音を中心に、キース・ジャレットや菊地雅章、富樫雅彦、日野皓正、山下和仁などを手がける。2003年度日本音響家協会賞を受賞。現在、音響芸術専門学校講師。著書にCD-ROMブック「及川公生のサウンド・レシピ」（ユニコム）。