待望のピアノ・ソロ・リサイタルを１６年振りに行ったマリア・ジョアン・ピリス。近年では協奏曲のソリストか、他の楽器とのジョイント・コンサートであった。ピリス・ファンには待ちに待ったリサイタルである。演奏曲目は、シューベルトの「４つの即興曲」、｢ピアノ・ソナタ第２１番変ロ長調｣、その間にドビュッシーの｢ピアノのために｣が挟まれた。ピリスの演奏は清楚で優しさに溢れた空間が続き、聴く者をピリスの音楽世界へと引き込んでいく。使用楽器は今回もヤマハ・ピアノ。２月には注目の若手指揮者ロビン・ティチアーティが指揮するスコティッシュ・チェンバー・オーケストラのソリストとしてショパンのピアノ協奏曲第２番を演奏し、聴衆に感銘を与える。オフステージでは笑顔が限りなく魅力的で周りの人を幸せな気持ちにさせる。楽屋口で長時間待つファンに丁寧にサインをする。そんな人柄も人を惹きつける。１９４４年ポルトガル・リスボンに生まれる。１９４８年には初公演を行っている。ソリストとしてはもとより、室内楽活動に好んで取り組み、デュメイvn、メネセスvcなどをはじめ多くのアーティストと共演している。また、ここ１０年間は世界各地から集まった学生を対象に多くのワークショップを実施し、自らの哲学や教授法を日本、ブラジル、ポルトガル、フランス、スイスに紹介してきた。最近ではベルギーのエリザベート王妃音楽大学で若手ピアニストの指導にも当たっている。録音はドイツ・グラモフォンから多くリリースされている。