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7月上旬の水打った夕刻から、コンビニの灯かり、まもなく21時になる、こんな宵を知らずにいくつの夜を過ごしてきたんだ、ぼくら。
チャーリー・ヘイデンの訃報が届く。副島輝人さんの訃報が届く。
日本の農産物を海外のシェフたちに伝えるプロジェクトを通じて販路拡大をする政府の方針にならって、三木俊雄フロント・ページ・オーケストラをニューヨークのリンカーン・センターで鳴らせてみたり、橋爪亮督グループをヴィレッジ・ヴァンガードで現代ジャズのカッティングエッジなミュージシャンたちに聴かせたりしたいと思っていた。
6月26日(木) 三木俊雄フロント・ページ・オーケストラ@ボディ・アンド・ソウル
http://www.enpitu.ne.jp/usr/bin/day?id=7590&pg=20140626
三木俊雄(leader,tenor sax), 松島啓之(trumpet), 岡崎好朗(trumpet), 中路英明(trombone), 山岡潤(euphonium), 近藤和彦(alto sax), 浜崎航(tenor & soprano sax), 福田重男(piano), 上村信(bass), 柴田亮(drums)
タガララジオ44(http://www.jazztokyo.com/column/tagara/tagara-44.html)でCDに感動したが、ライブはそれ以上。南青山の黒塗り高級車で駆けつけるにふさわしいボディ・アンド・ソウル。オーケストラは10にん、テンテット、で、この豪奢な響きが生き物のように発火している。CDではトヨタの高級車を思わせる、本場モノを凌駕する安定感と優雅さを湛えたものだったが、ライブではそこに個々のソリストの色気と不良性が予定調和を裏切って熱気を帯びる。これはあれだ、ブレイク寸前のクレイジー・ケン・バンドや東京ザヴィヌルバッハに立ち会っている同じ感触。どのソロも男気のあるもの、中路英明と近藤和彦がMVPソロだったかな。メンバーのコスチュームがバラバラにおしゃれなのがとってもステキだ。これは丸の内のコットンクラブで、新幹線リスナーを集め、さらにニューヨークのリンカーン・センターで公演すべきだ。
7月8日(火) 橋爪亮督グループ@渋谷公園通りクラシックス
http://www.enpitu.ne.jp/usr/bin/day?id=7590&pg=20140708
橋爪亮督(Tenor Sax)
市野元彦(Guitar)
佐藤浩一(Piano)
織原良次(Fretless Bass)
橋本学(Drums)
三善晃自演『海の日記帳』のように、音楽のフェイズの波動が、パッ、パッ、と、鮮やかに視界を異界にいざなってゆく。橋爪がアナウンスする「ぼくの夢を具現化するこのグループも14年になりました」、パッとわかるのだ、自身の歩みの果実を次々と投入して、時間をかけて熟成させて、ハイレベルでのインプロヴァイズに跳躍し続けている夢の旅路なのだ。それにしても、5にんがそれぞれ不可欠な構成要素でありつつ、相互浮遊を、パルスの放射を、それでいて揺るぎなき力学的釣り合いを瞬時瞬時に更新させてゆくありようは、やはりほかに無い特別なものだ。会うたびに異なった表情を見せてくれる、最高潮期の恋人のようであることが続いている。自慢ではないがおれは飽きっぽいのだし、まだまだほかに聴きたい音楽は山ほどあるのだし、出かけたいところもたくさんあるのだし。今日もまた、知らない橋爪亮督グループに出会えた。
5にんとも余裕を持ちながら動かし難い最高水準に歩を進めている。自作を吹くときのインプロヴァイザー資質の封印があった気がしていたのに、そうラインを外せるのか橋爪。そこで余裕をかませてリズムを投げ上げられるのか橋本。そこまで行くのか織原。なんだその美しいヴァリエーションは佐藤。今日のストラトは誰なんだ市野。
橋爪亮督グループ
TOUR 2014 VISIBLE/INVISIBLE
10/2 (木) 名古屋 Jazz Inn Lovely 19:30~
10/3(金) 神戸 Creole 19:30~
10/4(土) 岡山 Cafe SOHO 19:00~
10/5(日・昼) 京都 NAM HALL 15:00~
東京でのツアー公演はいつかなあ。
<track 383> Stage of the ground / Bump of Chicken from 『jupiter』 2002
You Tube > https://www.youtube.com/watch?v=uAZVe-d7vGY
次男の文京区への引越しをするのに、カーステでかけていた。懐かしんでバンプを聴いたつもりだったけれど、羽生結弦がこの歌詞の英語訳をプリントしたジャージで練習してたなんて知る。
橋爪亮督グループはこの曲のようだ。
今まで見つけたモンは ぜんぶおぼえている
きみの震える手を 握れなかった痛みも
(天体観測 / Bump of Chicken)
<track 384> Skip the Blues / Lauren Newton & Masahiko Sato (Moby’s Records / 地底レコード) 2014
この春にリリースされた本盤(http://www.jazztokyo.com/five/five1103.html)、さすが副島さん、いい音源を届けてくれる。82年と86年のライブ音源。1980年代フリージャズの金字塔だ、と、コピー文。稲岡編集長の筆も冴える。
“佐藤允彦とローレン・ニュートンの出会いは1982年、東京・赤坂のドイツ文化センターでの『第16回パンムジーク・フェスティヴァル』でした。このフェスティヴァルは「日独現代音楽祭」として1967年にスタートしたもので、82年のテーマは「ジャズと現代音楽」。作曲家の石井眞木氏、ジャズ評論家のヨアヒム・E・ベーレント氏、音楽評論家の副島輝人氏の三者がアートディレクションを担い企画・構成されたものです。そのコンセプトは、「ジャズ vs 現代音楽、日本(アジア) vs ドイツ(ヨーロッパ)、インプロヴィゼーション vs コンポジションという、縦・横・前後と三つの軸を持つ企画で(中略)当時としては非常にユニークかつ斬新的なもの”(『日本フリージャズ史』副島輝人著)でした。“
そういう時代があった。言われてみれば、確かにあった。今では通用しない話だよな、ラッシャー木村対ストロング小林みたいだよな、いつの時代だよ!、と、遠い目になっていた。フリジャズはジグザグデモみたいなものだ。ある世代にとってのはしかのようなものだ。
副島さんの音源では『モスラフライト』高木元輝(reeds)、徳弘崇(b)、小野勉(ds)(http://homepage3.nifty.com/musicircus/main/70free_2.htm)が、時空を超えて素晴らしいものだ。
フリージャズといえば、山下洋輔トリオ・ジェラルド大下・大駱駝艦の一枚だが、山下洋輔のほかの演奏はすべて不要のものだ。どの盤にも不毛な思いをさせられてきたのだし、ピアノを燃やして消防士姿で弾いたなんて哀しすぎるし、いつだか坂本龍一と山下洋輔がピアノ二台で即興をしていたけれど、即興の資質の無い者同士が何をしているものやら、やっていけないことはないけれど、即興の名においてあんなものは音楽への冒涜だと呆れたものだった。エネルギーがあればそれでいいのか。それは、●●●●、スガダイローを好意的に聴いても同じ感触しか得られなかった。今月は山下洋輔とスガダイローのデュオ盤も耳にした。曲芸か何か、というと、曲芸に失礼というものだ。
かつてフリージャズが提起していた快楽系または問題意識は、その後の現代ジャズやフィーレコ系やポストロックとかに内在しつつどういうフェーズで発火しているかと考えると、もはやフリージャズはディキシーとかパンクとかと同様に様式の伝統芸能に近いとしか思えない。
<track 385> Irrésistiblement (あなたのとりこ) / SYLVIE VARTAN 1968
You Tube > https://www.youtube.com/watch?v=C-kXLNvNUlk
はっぴーばーすでい、おれ。
益子博之さん、関良平さん、高原朝彦さん、池田達彌さん、刈谷吉見さん、末次安里さん、浦野由彦さん、Jeff Cosgroveさん、大江旅人さん、松田勝治さん、多田基さん、磯田秀人さん、今村健一さん、多田恋一朗さん。FaceBookメッセージありがとうございました。
「末次さん還暦ですか!わたしは…五十三次になりました!音盤道五十三次の53枚をいっせのせで交換しましょう」
お抱え運転手のクチに転職して、53になった。
そこで知り合った丑年兄弟の昭夫アニキ(65)、世界のヒノテルと縁があるんだと豪語するので、おれは世界のプーさんと縁があるんだと意気投合。
誕生日プレゼントでくれた曲が、なんでシルヴィー・バルタンなの。
「要するに私たちは、いろいろな不可能なことを頭の中で、あるいは心の中で可能にすることができます。必須条件がひとつだけあります。それは、優れていること。優れたものなら、受け入れることができるのです。そうでなければ堪えられません。」(ドナルド・キーン)
<track 386> Jakob Bro: In Sofia Live Club (excerpt), 24.10.2012
You Tube > https://www.youtube.com/watch?v=b_6686Oejh8
ECMレーベルの感覚的OSはヨーロッパであるので、クール・ジャズの系譜として考えておくことは賢明なことだろう。
ジャズ史におけるタイム感覚を操作するテクネーの革新は、先ずは法王ポール・モチアンによってなされていたことだ。
ヤコブ・ブロもトーマス・モーガンも、法王によって最先端にいる才能だが、ECMレーベルのハウスドラマーとも言うべきヨン・クリステンセン(71)
この10月に、ヤコブ・ブロとトーマス・モーガンとヨン・クリステンセンのトリオが来日公演をするらしい。ECMにすでに録音を済ませているともきく。
Jakob Bro - Northern Blues @ Jazzhouse, Copenhagen (29th of October, 2013)
You Tube > https://www.youtube.com/watch?v=2QBMo7lkJio
Jakob Bro, Guitar
Chris Cheek, Saxophone
Thomas Morgan, Bass
Jim Black, Drums
Jakob Bro - Weightless
You Tube > https://www.youtube.com/watch?v=ERMx4VFyi10
<track 378> Charlie Haden - El Quinto Regimiento / Los Cuatro Generales / Viva la Quince Brigada 1969
You Tube > https://www.youtube.com/watch?v=Z-JdKhfPu98
チャーリー・ヘイデン追悼。
音楽史の特異点、1969年に発表された。第3回スイングジャーナル主催ジャズディスク大賞金賞に輝く(http://jazzcd.jp/award/)。この賞は81年まで、だな。
このリベレーション・ミュージック・オーケストラが好きなら、これも聴くべき、と、竹田賢一が率いるA-Musik(アームジーク)の『エクイロジュ』を手にした話はタガララジオ1(http://www.jazztokyo.com/column/tagara/index.html)で書いた。
父親のラジオ番組に出て歌うチャーリー坊やが、オーネット・コールマンのカルテットで弾いて広範に受け入れられた要因の数パーセントかは、彼のキャラクターがアメリカのショウビジネス界との親和性を保持していたことにあったかもしれない。ビジネスにシビアな側面もあったのは銀行員の風貌だからでもない。
ヘイデンは下手だモチアンは下手だと上級生に言われるのは80年代の学芸大生だけではなかっただろう?なんなんだよ、ロン・カーターだと?スティーブ・ガットだと?
ヘイデン追悼、Liberation Chorus。
http://dothemath.typepad.com/dtm/liberation-chorus.html
Geri Allen, Reid Anderson, Joey Baron, Django Bates, Tim Berne, Matt Brewer, Alan Broadbent, Chris Cheek, Greg Cohen, Stephen Crump, Benoit Delbecq, Mike Formanek, Bill Frisell, Larry Goldings, Jerome Harris, Billy Hart, Tootie Heath, John Hebert, Mark Helias, Fred Hersch, David King, Frank Kimbrough, Guillermo Klein, Joe Lovano, Tony Malaby, Branford Marsalis, Joe Martin, Brad Mehldau, Ben Monder, Jason Moran, Sam Newsome, Matt Penman, Chris Potter, Tom Rainey, Joshua Redman, Eric Revis, Jorge Rossy, Kenny Werner, Jeff Williams, Matt Wilson, and Ben Wolfe.
残氓を聴いたジャンゴ・ベイツや高校生でブレイ/ヘイデン/モチアンを聴いたブノワ・デルベックに注目。
<track 388> 野島稔
そうそう、昨日は銀座ヤマハホールへパリに留学していた若きピアニスト5人のコンサートに出かけた。なぜこれに出かけたのかというと、4月に横須賀で聴いた野島稔を頂点とするピアニスト(http://www.enpitu.ne.jp/usr/bin/day?id=7590&pg=20140413)が5人だったこと、若手の岩崎洵奈に感動した(http://www.jazztokyo.com/live_report/report647.html)ので他の若手の水準を体験したかったこと。それで、昨日の感想はきかないで。
横須賀で聴いた5人、迫昭嘉、若林顕、神谷郁代、野平一郎、野島稔。横須賀音楽祭の審査員が勢揃いして演奏する、志の高さ。
最初に登場した迫昭嘉の力量にすでに唸っていた。彼のリサイタルに行きたい。若林顕のピアノもいい!神谷郁代、野平一郎に至っては神懸ったピアニシモと表現力で有無を言わせない。ベートーヴェンのピアノ協奏曲を順に弾いているのだけど、楽曲の完成度の高さに比例しているのだろうか。
そして登場した、野島稔。一度は聴いておくとよいでしょうとサリマン先生に助言をいただいてから6年、シフもピリスも岡田もヴィルサラーゼもポリーニもハーシュもビョルンスタもステンソンも岩崎も安田も渋谷も黒田もおれの耳のピアニスト星座に光り輝いている現在に至って、ついに聴く。
野島稔は故郷の横須賀で「野島稔よこすかピアノコンクール」を2006年から開催している。東京音楽大学学長でもある。ステージに見るからに重役スーツを着たCEOとか会長の風格の長身のおじさまが現れる。このひとはピアノを弾くひとなのか?
姿勢を正しくして座る。むかし教員免許を取るのに受けた教育実習で弾いた先生のような、規範的な手首の構えが正しすぎて、スーツ姿との釣り合いが滑稽に思えたりした、指の跳ね上がる角度と落下するモーメント、一瞬。
鳴り始めたとたんに、ステージが映る網膜から重力が失われる。会場が宇宙空間に漂っているようだ。
神のピアノとしか記述できない。
三善晃で作曲家はもういらないと新入生に訓示した逸話(http://www.enpitu.ne.jp/usr/bin/day?id=7590&pg=20131006)があるが、野島稔を超えるピアニストはいない。ピアニストはもういらない、とさえ言える。いまピアノを練習しているみなさんには過酷な現実だ。野島稔が世界ツアーでリサイタルをしたりしないのは不可解だが、少なくともピアノで生計を立ててゆこうと考えている青少年たちの記憶に刻まれるほうが効率がいいということだろうか、リアルな体験だけが伝播させられる衝撃、録音物では不可能だ。
世界の100ピアニストとかピアノ名盤とかを図書館で開いても誰も野島稔の存在を教えてくれないよ。芸術はそんな易しくない。
<track 389> 三善晃 : 海の日記帳 / 三善晃
三善晃自身が弾いたピアノを聴いたことがなかった。
午後8時16分到着予定の小石川図書館に向かう、途中、サイモン&ガーファンクルやタレガやマリアカラスが鳴っていた。
三善晃『海の日記帳』を聴く。
三善晃自身のピアノ演奏をはじめて聴くぞ。
ううう、こんな美しいものを聴きそびれていたなんて・・・。
かなりショックだ。聴きながら身体の関節が外されていくような。一音一音の響きの音波に、過去や夢想や忘れていた感傷や、カミソリの刃の冷たさや函館競馬場の古びたコンクリートの硬さ、
この音楽は、夢、だろう。
そのものだろう。
1. 海のゆりかご
2. 浜かぜと夜明け
3. うつぼの時計
4. おやすみ,夕映え
5. 浜百合の恋
6. やどかりのひっこし
7. 大きな貝のひるね
8. 波がふたりで……
9. やどかりの波のり
10. シシリー島の小さな貝がら
11. 海の弔列
12. 海ほうずきのうた
13. あこや貝の秘密
14. 笛吹き奴のかくれんぼ
15. 沈んでいった鍵盤
16. 伊勢海老おじさんがしてくれた「お話」
17. 波と夕月
18. 蟹の散歩道
19. シレーヌの機織り歌
20. 水泡のおどり
21. ソ,ソ,ソ,……の小烏賊たち
22. 珊瑚の唄
23. わんぱくさざえ
24. 手折られた潮騒
25. さよりっ子たちの訪問
26. 磯波のキャプリス
27. 水泡のおにごっこ
28. 波のアラベスク
“ところで去年、近所の金物屋さんに買い物に行ったら、そこの主人が鋸の目たてをしながらラジオの音楽を聴いていました。日本音楽コンクールのピアノ予選の実況録音でした。そして主人は「みんな巧えことは巧えが、なんか足んねえな」とつぶやいていました。音楽家にとって実に怖い評言です。“
ヤマガラ日記 三善晃 一九八六年十一月
<track 390> パパ泣かないで / CRAZY KEN BAND from 『肉体関係』 2001
You Tube > https://www.youtube.com/watch?v=LDt7Sz3lHsY
サージェントパパーズやロングバケーションに匹敵する、リスナーのひと夏を覆ってしまう名盤『肉体関係』。横浜長者町のライブハウス「フライデー」でのライブは、今ではプラチナチケット状態だ。葉山ビーチでの、親類縁者たちで盛り上がるような昭和の一体感。永遠の音楽。
家族日記になっていたコラム「ロヴァの耳」最終回(http://homepage3.nifty.com/musicircus/rova_o/08.htm)、だいたいおれの書くものはこれの残響音のようなものに過ぎない。
1. 肉体関係
2. ベレット1600GTヨコスカ仕様
3. 肉体関係者各位(ジングル)
4. ウォーカーヒルズ・ブーガルー Akasaka Latin Quarter Deluxe
5. 発光!深夜族 Honmoku ‘69 Tune
6. 金魚鉢 L.B.B.’S DUB SIESTA
7. 狂剣的世界(ジングル)
8. パパ泣かないで(Duet/菅原愛子)
9. スージー・ウォンの世界 山下町mix
10. かっこいいブーガルー(Duet/渚ようこ)
11. 葉山ツイスト(a. the readymade ye ye truck~
12. 大人のおもちゃ(a. 歌舞伎町mix~
13. 長者町ブルース AUDIOMUSICA N°10~
14. あるレーサーの死 AUDIOMUSICA N°12~
15. ショック療法 激情mix~
16. ハンサムなプレイボーイ readymade 524 mix~
17. 大人のおもちゃ(b. 歌舞伎町mix~
18. 葉山ツイスト(b. the readymade ye ye truck
19. M.C.C.K.(ジングル)
20. また逢いましょう
21. 肉体関係者各位(ジングル)
<track 391> Poulenc / Walton / Dallapiccola / Schnittke / Silvestrov / Duo Gazzana (ECM New Series 2356) 2014
Duo Gazzana - Valentin Silvestrov/ from: Five pieces - Serenade
You Tube > https://www.youtube.com/watch?v=LSIxG7pdjb4
現代的なコンポジションが、バロックから綿々と続く風景の中に融けて、新しく歩いてきた若い演奏者が新緑の呼吸をしているように放つさまが美しい、と、それらの現代的なコンポジションに魂を震わせてきた老人がパッケージした視線を感じ取る逸品。
<track 392> Alternating Current / Jeff Cosgrove / Matthew Shipp / William Parker (Grizzley Music) 2014
Duo Gazzana - Valentin Silvestrov/ from: Five pieces - Serenade
Jazz Tokyo Review > http://www.jazztokyo.com/five/five1104.html
11年の『モチアン・シックネス』、JTでのレビューはわたしが書いていたのか(http://www.jazztokyo.com/five/five861.html)。年間ベストでも『モチアン・シックネス』を選出した(http://homepage3.nifty.com/musicircus/main/2011_10/)。この作品のキモは、ジョン・エイベアとマット・マネリという共演者のセレクトばかりではなく、マンドリン奏者によるサウンドの異化効果も大きかった。
年間ベストで、この年は、Gerald Cleaver / William Parker / Craig Taborn 盤が図抜けていたというわたしたちの観測に、よっしゃこのオレもとジェフが思っても不思議ではないが、同じ惑星ウィリアム・パーカーのベースのピアノトリオとはいえ、マシュー・シップを選んだならはこうなるのが目に見えたか。
この盤の初聴きではマシュー・シップには「もうピアノを弾くな」と暴言したい気分でいたのだけど、一度は限界までピアノを弾き切ったと明言してまでブルーシリーズに冒険に出かけていた彼が、・・・この間10年くらいはまともに彼のピアノを聴きたくならなかった・・・、今日は、ユルさや弱さを内包した、枯れた自在といった感触に漂っていることに、憎めない心地良さを感じはじめているのだ。手抜きとか怠惰という形容は浮かばない、心地良さ。
彼は、彼なりにふたたび生きることを決意したのだ。弾いているピアノは名機ファツィオリ(FAZIOLI)なのか。おお、確かに、このピアノに魅入られて弾いている様子が感じられるものだ。
ミュージシャンのランクとしては、やはり惑星ウィリアム・パーカーが凄い。コスグルーヴに、この二人の演奏軌道を触発させて宙に浮かせることは至難の技であることは明白な事態なのだが、敬意を表していてはいけないのである。
<track 393> Led Zeppelin III
You Tube > https://www.youtube.com/watch?v=n499wduBdME
ユリシーズ編『解読レッド・ツェッペリン』が刊行された。
1977年の札幌東高校のウチのクラスでは、男子の過半数がツェッペリンの全作品を聴いていて、シンボルズ(IV)が好きだというのは恥ずかしいことだと共有されていて、『II』がカッコイイんだ、『I』を挙げるのは通、『フィジカル・グラフティ』はマニア、『聖なる館』が好きなおれはロマンチックでミーハーなのだそうだった。『III』を挙げたのはドラマー修行をしていたサカタくんだけだったか。
『III』が、重要な変節点にあった作品だと、この本ではじめて認識した。福島恵一さんが、『III』を執筆している。
耳の枠はずし > http://miminowakuhazushi.blog.fc2.com/blog-entry-299.html
ブルースやフォークの悲喜劇的な感情をもたらす不純物を排除して、「アコースティックなモンタージュ」を構築していったという観点は、見事だ。
第3章「レッド・ツェッペリンと300枚のアルバム」も壮観。
フレディ・マーキュリーのソロ?なぜに?クイーンの「ザ・ナイト・カムス・ダウン」がいいのに。
ディス・ヒートは恵一兄さんのテキストで読みたかったなあ。
ボーナムとソニック・ユースで叩き出したジム・ブラックは藤井郷子トリオ盤があってほしい。
ウイングスにボストンはわからんけど・・・朱里エイコはツボだわ・笑
「ルイズルイス加部はゴールデン・カップス在籍時、テレビの収録で一緒になった歌手の田端義夫が席を外した際に、彼のギターをファズにつないでコミュニケイション・ブレイク・ダウンを演奏、戻ってきた田端を激怒させたという」、わははは。
今回タガララジオ46の表紙は、この本を読みながら東京国際フォーラムを見上げた画像。
(「写真393」を左右いっぱいに配置してください)
高校時代にタイマーをセットして、爆音でカセットを鳴らしていた3曲のうち1曲はダンシング・デイズだったのだ。久ぶりに聴くと、意識がティーンエイジャーに戻ってしまう。
You Tube > Led Zeppelin - Dancing Days
https://www.youtube.com/watch?v=PecsnHR365I
「ともあれ、いわば悪の土壌にどっぷり浸かり込んでしまったみたいな音響ですよ、『聖なる館』はね。」(河添剛)
Ann & Nancy Wilson (Heart) - Stairway To Heaven - Kennedy Center Honors Led Zeppelin
You Tube > https://www.youtube.com/watch?v=mf2O3OAQjng
Tokyo No.1 Soul Set - ヤード
You Tube > https://www.youtube.com/watch?v=mCBwn0E3O-Q
2014年7月20日
http://www.enpitu.ne.jp/usr/bin/day?id=7590&pg=20140720
Niseko-Rossy Pi-Pikoe
1961年、北海道の炭鉱の町に生まれる。東京学芸大学数学科卒。元ECMファンクラブ会長。音楽誌『Out There』の編集に携わる。音楽サイトmusicircusを堀内宏公と主宰。音楽日記Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review。
追悼特集
ポール・ブレイ Paul Bley
:
#1277『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』(ピットインレーベル) 望月由美
#1278『David Gilmore / Energies Of Change』(Evolutionary Music) 常盤武
#1279『William Hooker / LIGHT. The Early Years 1975-1989』(NoBusiness Records) 斎藤聡
#1280『Chris Pitsiokos, Noah Punkt, Philipp Scholz / Protean Reality』(Clean Feed) 剛田 武
#1281『Gabriel Vicens / Days』(Inner Circle Music) マイケル・ホプキンス
#1282『Chris Pitsiokos,Noah Punkt,Philipp Scholtz / Protean Reality』 (Clean Feed) ブルース・リー・ギャランター
#1283『Nakama/Before the Storm』(Nakama Records) 細田政嗣
:
JAZZ RIGHT NOW - Report from New York
今ここにあるリアル・ジャズ − ニューヨークからのレポート
by シスコ・ブラッドリー Cisco Bradley,剛田武 Takeshi Goda, 齊藤聡 Akira Saito & 蓮見令麻 Rema Hasumi
#10 Contents
・トランスワールド・コネクション 剛田武
・連載第10回:ニューヨーク・シーン最新ライヴ・レポート&リリース情報
シスコ・ブラッドリー
・ニューヨーク:変容する「ジャズ」のいま
第1回 伝統と前衛をつなぐ声 − アナイス・マヴィエル 蓮見令麻
音の見える風景
「Chapter 42 川嶋哲郎」望月由美
カンサス・シティの人と音楽
#47. チャック・へディックス氏との“オーニソロジー”:チャーリー・パーカー・ヒストリカル・ツアー 〈Part 2〉 竹村洋子
及川公生の聴きどころチェック
#263 『大友良英スペシャルビッグバンド/ライヴ・アット・新宿ピットイン』 (Pit Inn Music)
#264 『ジョルジュ・ケイジョ 千葉広樹 町田良夫/ルミナント』 (Amorfon)
#265 『中村照夫ライジング・サン・バンド/NY Groove』 (Ratspack)
#266 『ニコライ・ヘス・トリオfeat. マリリン・マズール/ラプソディ〜ハンマースホイの印象』 (Cloud)
#267 『ポール・ブレイ/オープン、トゥ・ラヴ』 (ECM/ユニバーサルミュージック)
オスロに学ぶ
Vol.27「Nakama Records」田中鮎美
ヒロ・ホンシュクの楽曲解説
#4『Paul Bley /Bebop BeBop BeBop BeBop』 (Steeple Chase)
:
#70 (Archive) ポール・ブレイ (Part 1) 須藤伸義
#71 (Archive) ポール・ブレイ (Part 2) 須藤伸義
:
#871「コジマサナエ=橋爪亮督=大野こうじ New Year Special Live!!!」平井康嗣
#872「そのようにきこえるなにものか Things to Hear - Just As」安藤誠
#873「デヴィッド・サンボーン」神野秀雄
#874「マーク・ジュリアナ・ジャズ・カルテット」神野秀雄
#875「ノーマ・ウィンストン・トリオ」神野秀雄
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