#88. ネーメ・ヤルヴィ
指揮者 NHK交響楽団
2014年4月24日
サントリーホール



ネーメ・ヤルヴィは1937年エストニア生まれの76歳。円熟かつパワフルな指揮者である。NHK交響楽団には2011年11月の定期公演ではじめて指揮をする。今回はそれ以来である。ネーメ・ヤルヴィの2人の息子も指揮者である。長男パーヴォは2015年9月からNHK交響楽団の首席指揮者に就任が決まっている。日本でも実力が認められた人気の指揮者である。また次男クリスティアンは現代音楽に強く着々と幅を広げている俊英である。ひるがえって父親のネーメは世界の指揮者の中でもレパートリーの広さでは他の追随を許さない。特にレコーディングの数では現役の指揮者の中では最高と言われている。1982年エーテボリ交響楽団の首席指揮者になって以降精力的に名門オーケストラをつぎつぎと振ったタイトルは450を超えると言われている。今でも毎月のように最新録音があるという。評価が高いのはシベリウスやニールセン等の北欧の作曲家や故国エストニアの作曲家だけでなくロシアの大作曲家たちを体系的に録音している。安定した高水準の演奏が信頼されているという。
今回のサントリーホールの公演では、ネーメ自身が選曲したというR.シュトラウスの「祝典前奏曲Op.61」、「紀元2600年祝典曲Op.84」、バレエ音楽「ヨセフの伝説Op.63」の3曲。解説によると、2曲目に演奏された曲は戦前の日本政府が1940年に皇紀2600年を祝う曲を各国の音楽家に委嘱した際、アメリカは適任者がいない(対日悪化のためらしい)と断り、イギリスはブリテンに委嘱するものの「鎮魂交響曲」を送ってきたため演奏されず、結局イタリア(ピッツェッティ)、ハンガリー(ヴェレシュ)、フランス(イベール)の曲で構成されたという。ナチス政府を通じてこの委嘱が届いたシュトラウスは8日間でこの曲を仕上げたという。これを受けた背景には息子フランツの妻アリーツェがユダヤ人のため一層の身の安全を政府に保証してもらうためというのが通説になっている。これらの曲は大編成であるが、巨匠らしく職人技的に手堅く演奏した。

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林 喜代種(はやし・きよたね Kiyotane HAYASHI)
東京都日野市在住。80年代初めより現在までクラシック音楽を撮影。一時フォーク・ロック・ジャズ・ 民族音楽も。いま、落語・文楽に興味。(社)日本写真家協会会員

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