COLUMN:JAZZTOKYO

『近藤秀秋／ASYL：アジール』
PSF Records PSFD210 定価2,000円(税込)

近藤秀秋 KONDO Hideaki (guitar, 10 strings guitar, biwa),
中溝俊哉 NAKAMIZO Toshiya (oboe),
神田晋一郎 KANDA Shin-Ichiro (piano),
河崎純 KAWASAKI Jun (contrabass),
ヒグチケイコ HIGUCHI Keiko (poetry reading)

1. Points (H.Kondo)
2. Repetition (H.Kondo)
3. 漂泊者の歌 (詞:萩原朔太郎／訳:ヒグチケイコ／曲:近藤秀秋)
4. Night Club 190 (Astor Piazzolla)
5. Red (H.Kondo)
6. Rain (H.Kondo)
7. Hier ist Friede (Alban Berg)
8. Blue in Green (Miles Davis)

プロデューサー：生悦住英夫（P.S.F RECORDS）
ディレクター：近藤秀秋
録音エンジニア：菊地健太郎、近藤秀秋
ミキシングエンジニア：近藤秀秋
スタジオ：クレッセントスタジオ、シアタートラム、Bishop Records プリプロルーム
録音：２０１４年東京

使用マイク：
M1, M2, M5, M6: AKG C414 TLⅡ*2 (on), SHOEPS CMC-55U *2 (off)　*M2, M5 のon mic は１本のみ
M3: AKG C414 TLⅡ(biwa), NEUMANN m149 (contrabass), AKG C414 TLⅡ(poetry reading), 不明*2 (ambi)
M4, M8: AKG C414 TLⅡ*2 (on), SHOEPS CMC-55U*2 (ambi)
M7: AKG C414 TLⅡ(oboe), AKG C414 TLⅡ(guitar), NEUMANN U87ai*3 (piano), NEUMANN m149 (contrabass), BRUEL&KJAER 4006*2 (ambi)

個々のサウンドに緊張感みなぎる恐ろしいほどリアルな高音質録音

弦の緊張と解き放たれた開放の響き、神経質な音の表現でセンター定位で張り付く。
ベースもしかり。アルコの振動を目で観察している錯覚に陥る音だ。
琵琶のエフェクト気味にベースがかぶる。ぐっと音量の絞ったポエムが、謎の音像を形成。
一つ一つのサウンドに、緊張感が走る。ミックスバランスに相当な時間を要した録音と拝察。
木管が加わるとギターも温暖なサウンドに変化。
音質が作品の要となって展開。
恐ろしい程のリアル。近接音と音像の巨大さには身を一瞬引く。高音質録音が仕掛けた音場感とピアノが聞き慣れた音で発散されて、幾分、落ち着きを感じる。

＊関連リンク（CD評）：
http://www.jazztokyo.com/five/five1230.html

及川公生　Kimio Oikawa
1936年福岡県生まれ。FM東海（現東京FM）技術部を経て独立。大阪万国博・鉄鋼館の音響技術や世界歌謡祭、ねむ・ジャズ・イン等のSRを担当。1976年以降ジャズ録音に専念し現在に至る。2003年度日本音響家協会賞受賞。東京芸術大学、洗足学園音楽大学非常勤講師を経て、現在、音響芸術専門学校非常勤講師。AES会員。