山田和樹指揮日本フィルによる「マーラー・ツィクルス」が始まった。２０１５年１月より２０１７年６月までの３年間のシリーズである。マーラー交響曲全９曲にカップリングとして武満徹の９作品を取り上げる。会場はすべてオーチャードホールである。第１期の今年の２０１５年を｢創生｣としてマーラーの交響曲第１・２・３番を演奏。第２期の２０１６年は｢深化｣として交響曲第４・５・６番を演奏。第３期の２０１７年は「昇華」と題して交響曲第７・８・９番が演奏される。山田和樹は武満作品を取り上げる理由として、まとまった機会にきちんと勉強して演奏したいとの想いと、自分が武満徹と会えなかった世代ということも理由の一つであると言っている。小澤征爾や岩城宏之等は武満徹とともに生きた世代である。自分たちはそのエッセンスを受け取って伝えていく世代であるとも語る。交響曲作品を番号順に演奏することはマーラーの人生そのものをたどることでもある。第１期の「創生」はマーラー自身の人生の戦いの発露。第２期は自身のスタイルを深め、また古典的スタイルへ戻っていく「深化」、第３期はスペクタクルでオペラ的で別次元の音楽。テーマである「死」が「昇華」されていくと山田和樹は語る。この新しい「マーラー・ツィクルス」を支えるのは、２５周年を超えて進むオーチャードホールで、その意気込みが感じられるシリーズである。１９７１年神奈川県生まれ。２００９年第５１回ブザンソン国際指揮者コンクール優勝後、ＢＢＣ響でヨーロッパデビュー。同年プラッソンの代役でパリ管を指揮し、すぐ再演が決定。２０１０年小澤征爾の指名代役でサイトウキネン・フェスティヴァル松本で指揮。２０１２年に日本フィルの正指揮者に就任。

　 　

※ 画像をクリックすると、拡大画像にリンクされます。