同世代で世界的に最も優れたチェリストのひとりで、極めて優れた知性と感性で聴衆を魅了するダニエル・ミュラー＝ショットが無伴奏チェロ・リサイタルを行った。Ｊ.Ｓ.バッハの無伴奏チェロ組曲第２番で始まり、プロコフィエフ、クラム、ヒンデミットの無伴奏チェロ曲を挟み、最後にＪ.Ｓ.バッハの無伴奏チェロ組曲第５番で終わるプログラミングだった。「様式の対比を大切にした」という。そしてさまざまな形態のステージの中で「無伴奏リサイタル」が最もむずかしいと語る。今回はホール内が暑かったのか前半には着ていた上着を後半のステージでは脱いで白いシャツ姿で演奏。印象的で雰囲気が変わって悪くなかった。エレガントで透明感あふれる音色に聴衆は惜しみない拍手を送った。また、「音楽とは私にとって、芸術における最も重要な言語。わたしはチェロという声を持っていることに感謝しています」とインタビューに答えている。１９７６年ミュンヘン生まれ。チェロとの出会いは８歳。ヨーヨー・マが弾くシューマンのチェロ協奏曲を聴き、温かいチェロ音色に魅せられ、チェロを習わせてくれるように両親を説得したという。その後ワルター・ノータス、ハインリッヒ・シフ、スティーヴン・イッサーリスに師事。アンネ＝ゾフィー・ムター財団から奨学金を得る。またロストロポーヴィチから１年間個人的に教えを受ける。１９９２年１５歳のとき＜若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール＞で優勝。一躍注目を浴びる。２０１４年１月アラン・ギルバートの指揮でベルリン・フィルにデビューする。

　 　

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